遊覧船
藤たまきさんの「遊覧船」が大好きなので、予約してずっと楽しみにしていました。
聴き終わった感想としては、期待以上で、藤さん独特の詩的な表現やセリフのイメージを壊す事なく、声と音楽でふんわりと優しく作り上げていると思います。
声優さん達もイメージがあっていましたし、演技も本当に素晴らしかった!
しなやかで芯が強く、時には繊細な内面も見せる日和には、柔らかく・・・でも意思の強さを感じさせる声の岸尾さん。そしてお金でしか人とのつながりや愛情を保てないと思っている愛すべき異星人(笑)の間宮には、麗しい低音の声で・・・すねた口調がかわいい子安さん。特に日和の心情を語る時の岸尾さんの演技は・・・心に沁みてきました。
私が藤さんの作品で好きなところの一つが、独特のセリフまわしや文章にあります。どの作品でも心を揺さぶる表現が必ずあって心に残ります。このドラマCDでも、原作のセリフや文章もけっこうあり、私の大好きなセリフやお気に入りの文章を日和や間宮が語ってくれた時は感激しました。私は漫画を見ながらCDを聴いていましたが、より楽しめましたよ。この脚本家さんは藤さんの良さや特徴を理解してくれていると感じました。
ジャケットのイラストも素敵です。音楽もさりげないですが、心に響きました。ピアノとギター(たぶん)のソロの曲が印象的で、しっとりとドラマを彩っていたと思います。
年齢も環境も価値観も違う日和と間宮・・・時には迷い、愛しあい、傷つけあいながらも不器用にゆっくりと進む航路に、私は二人の幸せな未来を予感する事が出来ました。
聴いた私にも幸せであたたかな気分にさせてくれる作品です。
遊覧船 (ディアプラスコミックス)
この作者の手にかかると、ありがちな
ネタも新鮮に感じられるように思う。
横暴ではないが金で愛情を買う御曹司と、
最初は罪なく喜びながらも次第に金の
存在に愛を薄められて苛立って行く受け。
受けが何故怒っているのか最初はわから
ない御曹司の中に、人間らしい感情が
膨らんで行くのが微笑ましい。
二人の感情の変化が自然であり、いつも
ながら世界観が完璧に出来上がっていて
トリップ度が非常に高い。映画の中に
迷い込んで良い物を見させて貰ったような
感覚で読めた。面白かった。