小学生の時にこれくらいの作品を残しておいてほしかったです。 ちょっとふっくらし過ぎ?
B4サイズの大型本です。
編集とADは、『万葉集』『金魚』『KATACHI』などの
ユニークなビジュアル本を連続出版している高岡一弥氏。
図版は、折り込まれた見開き(B3)サイズの紙に印刷されている。
それを一枚一枚、開いていくので、絵との独特の出会い方が楽しめる。
文字はとても少なく、それが白地の紙に端正に置かれている。
つまり、見るものは、ほとんど白地の世界をまず目にして、
その裏にある、絵画に導かれていく。
ページを開く(そこに絵画はない)。
折り畳まれた紙を開ける。
絵画と出会う。
この一連の動作。
最初に絵が見えないことが、
この本を、美術館的空間にしている。
絵画と絵画の間を歩く、静謐なインターバルの時間と空間は、
30数点しか作品が残されていない
謎めいた画家にふさわしいしつらえ。
冒頭のフェルメールの3作品には、部分に寄ったページもあるので、
作品にぐっと近づいて見る体験・効果も味わえる。
ただ残念なのは、この本が、今回のフェルメール展に際して作られたのに、
掲載作品が展示公開作品7点すべてではないこと
(今回の展示で最も素晴らしい『手紙を書く婦人と召使い』の代わりに、
かれの代表作のひとつ『絵画芸術』が収められている)。
絵画掲載点数は、全部で22点。
フェルメール以外の画家の絵のセレクトにも
やや疑問が残る。
テキストは巻末に2本。高橋睦郎と浅田彰。
これらはそれほど刺激的でも深くもなく
収められた絵画作品とゆたかに響きあう結果には、
残念ながらなっていない。
PCからデータファイルをKORG MR-2000SのHDDにコピーして再生。そのアナログ出力を自分のふだん聴いているシステムで再生した。
特筆すべきはその実在感と自然な響き。立体的な残響でリバーブなどの電気的処理のない自然な音響であることがすぐに実感できる。ほのかなチェンバロやヴァージナルはやや後ろで控えめだがとても自然。ナマを聴いたことのない人にはもの足りないと思うかも知れない。
ブロックフレーテの音も、豊かでよく通る。響きが透明なのでまといつくような共ざつ音がなくとても清らかな音がする。ブレスや気配音は、確かな実在感を感じさせるが決して目立つものではない。
MR-2000S付属ソフトで44KHz/16BitにダウンしCDRに焼いてCDPで聴いてみると、解像度が落ちるというより響きにもやっとしたかすかな付帯音がまとわりつくような感じがする。レコーダーの音色もかすかに唾がまじった感じになり、チェンバロも少しうるさくなる。ヴィオラダガンバの響きは張り出してきてきれい。こういうところがオーディオ的には面白い。
特に、ヘッドフォンなどは歴然と選ぶようになるし、WAVファイルからiPodで聴くと、かえってCDPより鮮明な音を楽しめるというところもオーディオのあだのようなもの。アンプの解像度、SN、トランジェント(「立ち上がり」より「立ち下がり」)、スピーカーの位相特性などの基本性能が厳しく問われるだろう。
選曲も演奏も素晴らしい。ふだんからは聞けるようなプログラムではないのだが、表題曲を始めいずれも名曲ぞろいで、すぐにこういう時代の音楽の虜になるだろう。
グールドといえばバッハの印象があまりにも強いが、バッハの曲以外にも数多の名演がある。まず、バッハに代表されるバロック音楽以前の、ルネッサンス期の曲をピアノで見事に弾ききった傑作として、本作は真っ先に推薦に値する。スティングの「ラヴィリンス」やセルシェルの「ルネサンス・リュート曲集」でダウランド等のルネッサンス期作曲家の曲の静謐な響きに心惹かれた人は必ずや本作を気に入るだろう。輝かしい調子の曲(例えばM3)もあるが、総じて落ち着いたしっとりとした味わいの曲が多く、静かな夜を落ち着いて過ごすのに最適の作品集の1つである。
ところで、本作は9曲中8曲をギボンズとバードの曲で占めており(録音はM1、5、7が1967年、M2、3、6が68年、M4、8が71年)、2007年10月にはその8曲だけを集めた作品が紙ジャケ仕様の作品が発売されている。しかし、本作にはモノーラルだが初CD化されたスウェーリンクのファンタジア・二調(7分23秒・64年録音)という捨てがたい曲が最後・9曲目に収録されており、現時点でこの曲を入手できるのは本作だけと思うから、私はグールドがエリザベス朝に創作されたヴァージナルのための曲にピアノでチャレンジした作品の決定版としては、07年盤より本作の方を薦める。
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