密林でアメリカ兵に遭遇し、現地の男の子と女の子が討たれる瞬間を写真におさめようとして米兵に撃たれ、海馬に石片を残したままになった写真家が高層ビルの「螺旋」階段に吸い込まれ、岩手の詩人は北上高地の斜面に巨大なオーム貝の化石の「螺旋」に飲み込まれた。 彼らは一人でありながら二人、二人でありながら一人の、混沌の中で二人分の修羅を持つ人間となって、見知らぬ世界に海から上がってくるところから物語が始まる。「縁(えん)であり、業(ごう)」である「アシュヴィン」という名の人間として。 アシュヴィンははるか上を、須弥山を目指す。仏教的な世界観でこの物語は進行していく。色は空であり、空は色であると。問いの中に答はあると。 陰陽師などから夢枕獏を知った人には、夢枕獏!にこのような一面があったとは、と驚くでしょう。獏自身、書き上げるのに10年かかったと言っている。それだけの本です。 うまくレビューが書けなくて申し訳ありません。 アシュヴィンの修羅は昇華するのか?人は幸せになれるのか? まだ、下巻があります。消化するのが大変な本ですが、続けて下巻を読んで下さい。
ある種、ユングの言う人類共通の無意識に降りてゆくような作品だ。 螺旋という世界観で、インド思想と宮沢賢治の詩を混在させかつ統率し、それを根源的な神話世界として一種の冒険のような形にもしてまとめている。 厚めの作品だが、文章は簡明なものなのでわりとすらすらと読み進められる。 SF小説ということになっているが、この作品の無意識への没入と分析はかなり純文学的な香りを漂わせており、強い作品と言えそうだ。 ヘッセの「シッダールタ」を最近読んだので、理解の助けとなった。
とてもいいアルバムでした。DVDの内容もとても可愛くキュートな仕上がりになっています。
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