『School Heart’s―月と花火と約束と』です。ドラマCD(18禁)のノベライズだそうです。ただし、この小説は18禁ではありません。ちょっとえっちぃっぽいシーンはありますけど。 短編四本の連作で、それぞれ、伏見つかさ、みかづき紅月、内田竜宮丞、魁が執筆、イラストは樋上たける、みけおう、有子瑶一、的良みらんです。 夏休みの登校日と年に一度の満月祭りを舞台とした、五人のヒロインを描いたラブコメです。五人の他にも妹とか生徒会長とかいますけど。 連作短編といっても、登校日と祭りの日のできごとを、それぞれ別視点で描いているものです。各作品がリンクしている場面もあります。
いずれの作品も、普通にラブコメです。お約束満載です。超常現象などは登場しない現代学園ものです。夏休みですが。 そういうわけで、四人の作者により五人のヒロインを描いた連作、という以外には斬新さみたいな部分が見あたらなかったのが物足りなくもありますし、逆にいえば普通なので安心して読めます。 推敲不足、校正不足による誤字脱字がいくつも見られたこと、設定や状況にツッコミどころが多いことが惜しいです。また、作品リンクが合っていない部分もいくつかあったような。作品の都合上どうしても違うようにした、というのではなく、問題なく合わせることができるはずなのに合わせていない、という感じです。 18禁ではないとはいえ、イラストのH度が低いのも不満。巨乳描写が得意な作家や絵師に貧乳キャラが割り当てられていたり。えっちな部分に厳しい割にはえっち作家や絵師を多用している一迅社文庫というレーベルの抱える課題がそのまんまという感じです。 評価は☆2と☆3の間。原作を知らなくても充分楽しめる作品ではあります。
主人公九鬼和真には、美雪(25)・玲(23)・舞(19)・祥子(17)の4人の姉がいた。和真の生みの両親は既に他界しているため、叔父の家に引き取られ、叔父の四人娘(全て年上)に囲まれた生活を送っていた。 この四人姉妹をはじめ、もとい九鬼家は、競泳の世界で名を知らぬ者は一人もおらず、先祖代々も四人姉妹も皆華々しい数々の記録や実績を打ち立ててきた名門水泳一家なのだが、和真だけは姉達に格好悪い所を見せたくないため、水泳を全くやらずおまけにかなりのカナヅチだったのだ。そんな和真に、学校の水泳部のエース遠藤俊彦から売られた、姉デートをめぐる50メートル勝負を引き受けた羽目になり、四人姉妹によるカナヅチ和真への水着を纏った「猛特訓」が始まったのだ。
プロローグは四人姉妹との水入らず生活からスタート→第一章で競泳水着による四人姉妹との男子更衣室でのおさわり→第二章で小学校プールでの四人姉妹との一斉初体験→第三章でスク水四人姉妹とのローション入浴プレイ→第四章で「合宿」という名のビーチH→第五章で遠藤俊彦から売られた勝負本番の後、和真の子を孕んだ四人姉妹との妊娠ボテ腹ペインティングプレイ→エピローグで四人姉妹との「誓約書」を交わされる・・というが本書の大きな流れだ。
どの章も、全て四人姉妹との一斉合同プレイなので、章ごとに各姉妹別々にやるというパターンはない。その一方、四人姉妹を全て平等にしなければならない「タガ」があり、4人まとめての一斉プレイを和真の肉体一人でこなしていくので、一人やったらはい次へ・すかさずまた次へ・・というパターンの繰り返しなので、和真の姉妹一人あたりへの本番の時間的な密着度・濃厚度は比較的小さく、しかも、リーダー格である「はず」の一番の美人長姉美雪が、和真にとってご指名の一番最初の初体験の相手だったにも関わらず、その後は全般的に渡って、Hでの存在感が他姉妹より「薄く」感じるてしまっている。尤も、四人姉妹と全て平等にHしなければならないということから、4人全員へ一人ずつに対するイチャイチャ濃厚を求めるのは最初から無理がある設定だ。おまけに、絵師は美少女文庫でおなじみの有子瑤一ながら、水着姿四人姉妹が4人全員活かされている絵は、表紙と本文中の47ページのみなのも、やや残念な点。 ただし、年上好み・巨乳好き・水着好きには持っていても楽しい一冊。
ちなみに、競泳をやっている四人姉妹なので、水着や抵抗軽減対策から4人とも普段からパイパンなのを断っておく。第二章で、4人の局部の、「「同じ構造」ながらそれぞれ差異があること」が述べられているのも特筆しておこう。
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