スパイ・アクション系のハリウッド映画で、本作の影響を受けていないものは皆無と断言してよい、永遠の名作。NYで人違いから東側の組織に追われるケーリー・グラントの逃走方向はなぜか北北西。ヒッチコックお得意の息つく暇もないスリルの連続で、ラシュモア山で衝撃のラスト。特にトウモロコシ畑の中で複葉機に襲撃される場面や、ラシュモア山での追いつ追われつのシーンは史上最強の名アクションシーン。
本作の強い影響下にある作品を思いつくままに挙げると、「007シリーズ」「スパイ大作戦シリーズ」「Miシリーズをはじめとするデパルマの全作品」ヘップバーン主演「暗くなるまで待って」ペキンパー「ゲッタウェイ」イーストウッド「ファイアフォックス」と、まだまだいくらでも出てくる。個人的には史上最も影響力の強い作品と断言しても良いと思う。因みに「Mi1」のヴァネッサ・レッドグレーヴは、本作のジェームズ・メイソンと全く同じ演技をしていて、実は笑えます。マニアは要検証。そして必見!
この最強のお二人がヒッチコックを語りつくすというのですから、これは購入しないわけにはまいりません。まだ、私は未購入。しかし、この内容で、この出版社で500ページ近い本がハードカバーで出せないとは……。映画本が売れないという噂は本当なんですかね。ただ、山田さん、トリュフォー関連の書簡集や遺稿集の翻訳を忘れないでください! 私は必ず買いますから。
間違えられて逃亡するパターンの名作。 本来、間違えられて誤解を招きながら進展するドラマは大嫌いなのだが、そこはヒッチコック、ユーモアとお色気で愉しく観させてくれる。 なぜ、ケイリー・グラントのスーツとネクタイはあんなに格好いいのだろうと思ってしまう。 造作があまりよくないエバ・マリー・セイントをここまで魅力的にしたのは、やはりヒッチコックの腕だろう。 ソウル・バスのタイトルもカッコイイですよ。
ヒッチコックは後年たびたびこの大ヒットした映画について「自分がアメリカで撮った数多くの映画のエッセンスが詰まっている」と評したそうである。多くのヒッチコック映画に共通する観光地めぐりという要素では、ノースダコタのラシュモア山、国連本部ビル、インディアナ州と思われる大平原などが出てくる。農薬散布の軽飛行機がどこにも逃げ場のない大平原で主人公を襲う場面は、強烈な印象を与える。 136分の上映時間が長すぎると当時のMGM経営陣が一部カットするように強硬に求めたが、ヒッチコックは頑として譲らなかった。スリルとサスペンスはどのヒッチコック映画にも共通するが、それにラブロマンスが加わり、第一級のエンタテイメントに仕上がっている。音楽も秀逸、数多くのヒッチコック作品の中でもとりわけ印象深く、必見度最高ランクの作品である。 なお、この映画には見つけると非常に滑稽なミステイクがある。群集を使う場面、特に子どもを使う場面には、このようなミスは避けがたく存在するに違いない。ヒロインのマリー・セイントが映画中唯一発砲する場面、彼女の後ろで椅子に座っている少年にご注目あれ。
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