伊藤左千夫 商品

伊藤左千夫 野菊の墓

同じようなストーリーは数多存在しているにも拘わらず、約100年前に上梓されたこの作品が時代を越えて支持されている理由はなんだろうかと考えました。そして、それは言葉の美しさではないかという思いに至りました。「幽明遥けく隔つとも僕の心は一日も民子の上を去らぬ」…心打たれました。 野菊の墓 関連情報

伊藤左千夫 野菊の墓 (新潮文庫)

 伊藤左千夫という人物は、30代で詩の世界に入り、正岡子規の精神と人格を信仰し、師事をしていた。そして子規の没後、伊藤左千夫の発表した『野菊の墓』は夏目漱石によって高い評価を受けている。これらのことから、伊藤左千夫という人物は詩と文学の世界において、卓越した能力があったことが分る。偶然ではあるが、私の出身がちょうど四国の愛媛県ということもあり、とても親近感を持って作品を読むことが出来た。 作品は大人となった主人公の政夫が、懐古するところから始まる。10年間も思い続けるような、そんな恋が果たしてあるのだろうか。冒頭から私は少々疑ってかかってしまった。しかし、読み進めていくにつれて、確かに自分か同じ出来事を体験したならば、忘れられなくなりそうだと感じた。最終的に結ばれない恋であったが、政夫と民子の共有した時間は儚く美しかった。詳細に二人の感情が描写されており、特に野菊の問答をする場面は最大の見所である。 私が本作品で強く思ったことは、秘めた思いを大切にすることもいいが、しかし、伝えたいことは機会を逃すと取り返しがつかないということだ。作品の時代背景が、二人を別つ1つの要因であったと考えられるが、常識に打ち勝つ思いと行動力があれば、二人の思いは成就したのではないかと考えさせられた。 野菊の墓 (新潮文庫) 関連情報

伊藤左千夫

お互いいとこ同士で、同じ乳で育った男女の可憐な恋物語。回想シーンは楕円形のフレームの中で演じられる。多分時代設定は戦前。今では考えられない男女の仲。民子が2歳年上というだけで叔母から二人の仲を冷たくあしらわれ、政夫との結婚を拒否される。民子は不承知ながら別の男の元に嫁ぐことになる。そこで産後の日経ちが悪く、いわゆる産じゅく熱で亡くなってしまう。死の床で片手に政夫が好きだと言ったりんどうの花と彼から貰った手紙を握りしめていた。一家の中で一番封建的であるはずの祖母だけが二人の仲を知っており、この結婚を不憫だと思っていたというのは不憫であり、同時に観る者の救いとなる。73歳になった政夫(笠智衆)が60年前の故郷に戻って当時を振り返り、場面場面に短歌を挿入しながらエピソードを進行させるという形式をとっている。はかない二人の悲恋の物語である。 関連情報

伊藤左千夫 野菊の如き君なりき [VHS]

時代の運命に翻弄されながらじっと生きた民子の姿が余りに哀しい。主人公たちを取り巻く自然の美しさが筆舌に尽くしがたい。 野菊の如き君なりき [VHS] 関連情報

伊藤左千夫 野菊の墓 [DVD]

私は聖子嬢よりも年齢は上で当時はファンでもありませんでした、唯一 奥さんが聖子世代ですが。独身の時、TV映画劇場だったと思いますが、何気なく見ることとなり何も考えず見ていました聖子嬢もとても若く、初々しい演技がぎこちない様にも見えますが歳相応で返って民さんらしさを感じました。原作者の伊藤左千夫はもともと詩人でしたが「野菊の墓」を出版した際、夏目漱石がその内容を絶賛したと聞きます。その原作が良いのもあるのでしょうが、この映画も いつの間にか引き込まれて行きました。ロケは風光明媚な群馬県甘楽町で撮影されたそうで、綿畑 ナス畑のシーンなどとうもろこし畑で民さんが「一の谷のいくさ破れ打たれし平家の公達哀れ〜」と「青葉の笛」を歌うシーンは聖子嬢でしか撮れなかったのではと思うほど歌が上手です。また婚礼の行列のシーンなど残雪の山並みをバックにし当時の時代背景をうまく再現しています。木の下で昼食のおにぎりを食べるシーンは長野県の大峰高原でワンカットだけ七色大カエデの近くにあるアズキナシの木で撮影されたそうで随分と贅沢なものですね。他に叙情的に撮影された、夕日のシーンがとても心に残り儚い物語を美しく描いています。ベテラン俳優が脇を固めていて、重い演技が二人を取り巻く当時の環境を自然に表現しています特に病弱な政夫の母 「きく」役の加藤治子さんの名演技に涙を誘われない方はきっといないでしょう各場面に流れるメロディーも考えられていて演出、映像、内容ともに良く出来ていると思います。遠い昔、民子と共に見た夕日・・・年老いた「政夫」が「民子」の墓に野菊を手向けるラストシーン「花一色」が流れる瞬間、もう涙が止まらなくなってしまいます!幸薄い哀れな「民子」の生涯を回想する悲しい物語ですが唯一の救いは「愛する人を思う気持ちは年月を経ても とても尊い」と思える映画です。「民子は僕の写真と僕の手紙とを胸を離さずに持って居よう 幽明遥けく隔つとも僕の心は一日も民子の上を去らぬ(原文)」この映画作品の良さを知らない方が多いと思いますが、私は高評価に値すると思います。単なるアイドル映画だけでは無く、真面目に作られた良い作品です当時はVHSの録画でしたが、今はDVDを購入し何度みても心が顕われるようです。 野菊の墓 [DVD] 関連情報




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