pied-piperや宮川さんの他のプロデュースワークを聴いていて、このアルバムにも期待していたのですが最初の印象は、「自分で歌わなくても良かったんじゃ…」でした。決して下手ではないのですが、気の抜けたような癖のある歌い方がどうも最初は受け入れられず、一時期はゲストボーカルの曲ばかり聞いていました。ですが、そこからまた本人歌唱の曲に戻って聴いてみると、今度はゲストボーカルの曲のほうが何か物足りなく感じるようになってしまいました。…うまくは説明できないのですが、まあそんなところです。歌は好みが分かれるところですが、サウンド面で言えば、今までの宮川さんの作品が好きな人なら買いだと言えるでしょう。エレクトロ中心ではありますが、ストリングスやブラスなどで、らしさを見せてくれています。 ニューロマンサー 関連情報
[ネタバレ注意]「攻殻機動隊」や「マトリックス」をはじめ、後のサイバー社会もののフォーマットを生み出した歴史的名作。今回はじめて通読したが、作中登場するさまざまなガジェットやサイバー空間の描写、ジャンキーの主人公など、まさにサイバー社会らしいイカれた雰囲気には確かに魅せられる。「港の空の色は、空きチャンネルに合わせたTVの色だった」という出だしからして、そのサイバーっぽさにしびれるのである。他方、こうしたサイバーものの眼目である哲学的考察については、大まかにいって、3つの原理が示されている。ウインターミュート(冬寂)のミツバチのような集合精神、ニューロマンサーの個の確立をめざす人格主義、リンダ・リーの肉の原理がそれである。これらはどれもサイバー社会のあり方を考察する上で重要なものであるが、小説の最後の方でバタバタと述べられ、私としてはもう少し突き詰めてほしかったが、これも先駆者としての問題提起を評価すべきなのだろう。作中の登場人物の中で、際立って魅力的なのが、主人公ケイスの相棒となる「カミソリ女」のモリイである。目の代わりのミラー・グラスや鉄の爪を身体に嵌め込み、あくまでもクールに闘い、傷ついてもまた仕事におもむく。たとえばギプスをはめアザだらけになって寝ている描写(151ページ)など、まさにサイバーパンクらしいなまめかしさである。そして最後には、「命には気をつけんだよ」(WATCH YOUR ASS OK?)と書き残して去っていく。なんてカッコいいんだろう! ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF) 関連情報
アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))
本作では外面では見分けのつかない人間とアンドロイドとの識別に感情移入度テストが用いられている。アンドロイドは他者の喜びや痛みに共感することできず、それゆえに残虐であり、自分の生存のためには仲間も平気で裏切る、と言われてきた。しかし感情移入度テストでは判別できないアンドロイドも出てきてしまう。 人間だと思ったらアンドロイドで、アンドロイドだと思ったら人間。そんな経験を続けるうちに、「人類社会の敵」として何の躊躇いもなく逃亡アンドロイドを殺戮してきた主人公リックは、次第に標的のアンドロイドに同情し始め、重大な疑問に直面する。自分たち人間と彼らアンドロイドはどこが違うのか? 人間よりも人間らしいアンドロイドがいる。一方でアンドロイドのように無慈悲な人間もいる。アンドロイドであるというだけで、「社会への脅威」として虐殺することは果たして正しいことなのか? 自分の仕事は、この社会は何か間違っていないか? リックはアンドロイド狩りに疑念を持ち始め、あまつさえ自分に協力するアンドロイドを愛してしまうのだ。そんな葛藤の中、リックは…… ここに至っては、神の創造物として自然に生まれてきたか、人工物として造られたかは、本質的な問題ではなくなる。感情移入できれば人間、できなければアンドロイド。逆に言えば、人間して生まれてきたとしても、感情移入能力がない者は真の意味で「人間」とは言えないということである。真の対立軸は人間/アンドロイドではなく、人間性(親切=善)/アンドロイド性(冷酷=悪)なのだ。 陰鬱で退廃的な世界観にも感嘆。 アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229)) 関連情報
スプロール三部作の完結編。第一作(ニューロマンサー)から7年経て第二作(カウント・ゼロ)となり、更にその7年後が舞台。第一作で多くを語られなかったテスィエ=アシュプール家の謎や、第二作の謎の存在ロアが、明らかとなる。そして、全てが第一作で合体した2つのAIのその後の物語であったことが分かる。本作において中心となる、もう一つの宇宙を擁するバイオ・チップの名称は、数学における連続無限の濃度を表す「アレフ」が由来と思われる。三作とも難解ではあるが、全てを読破するという贅沢を是非、味わって頂きたい。この作品単独でも楽しめるが、三部作を貫く大きな流れを見失ってしまうのは、あまりにも惜し過ぎる。 Mona Lisa Overdrive 関連情報
「サイバーパンク」と言う用語を世界に生み出した作品。人間とサイボーグの境目が判らなくなった未来の話。そしてサスペンスも入れられていて面白かったです。Johnny Mnemonicはこの中のキャラみたいです。Ghost In The Shellってここから話しとったのでしょうか??? この本はSi-Fファンにはとても良い本です。 Neuromancer 関連情報