「お茶にごす。」が西森作品デビューとなった私にとって、この最終巻はとても感慨深い物があった。あらすじの登場人物紹介の一人一人に付け足される”想い”という言葉とともに、かつて”悪魔”と恐れられた主人公・まークンはただひたすらに優しい人であり続けようと奔走する。その想いは部長に対する純粋な気持ちをも凌駕する、彼の揺ぎ無い信念となった。しかしその優しさ、信念は本当にかつて彼が望んでいたものなのか。一巻のころであれば抱くはずもなかった葛藤に苛むまークンに対して、喝を入れたのはいつも彼を見ていた夏帆の存在であった―今巻を一言で表すのであれば、それは「卑怯」だ。部長とまークンの二人のニヤニヤの止まらない表紙。相変わらずの西森節の炸裂振りに胸を撫で下ろすとともに、不意に何度も涙腺を刺激されるシーンが挿入される11巻は卑怯という他ない。特に、まークンが新入生を前に七三分けでお茶を点てるシーンはその最たるものであろう。そしていつまでもこの世界が続いてほしいと思ったのは私だけではないはず。しかしこの漫画が終わった後も、本当の優しさに気付いたまークンと部長の関係はいつまでも続いていくだろう。少なくとも私はそう思うとともに、この素晴らしい作品を諸手を挙げて推薦させていただく。おススメです。「お茶にごす。」 お茶にごす。(11) (少年サンデーコミックス) 関連情報
「今日から俺は!」に始まり、「天使な小生意気」「道士郎でござる」などこの人の作品はすべて網羅しているほど好きな作者。今回は周囲から恐れられるほどの不良が茶道部に入部してしまう話。すでに何作ものシリーズを仕上げ、ストーリー的に綺麗につなげる腕は十分なのでどんどんと読んでしまう強い引きがある。茶道部の主要メンバー以外が目立ちだすのが遅めだが、登場人物の個性はしっかりしている。今回は敵との戦闘の頻度は低く、青春を知らない純朴な不良が人間的な喜びに振り回されるところがメイン。戦いという意味では圧倒的に強いのでこれまでのように強い敵に根性で立ち向かう、という図式とは別の方向で楽しめる。これはこれで面白い。特に読んでいる側を吹き出させるのがうまく、なんということはない場面で笑ってしまうことがある。登場人物の笑いが読者に伝播する「誘い笑い」もさすが。「今日から俺は!」以降、絵は完全に安定しているし、笑いのセンスと勢いはいまだ衰えない。この作者のマンガが初めての人でも問題なく楽しめるだろう。 お茶にごす。(1) (少年サンデーコミックス) 関連情報
お茶にごす。 コミック 全11巻完結セット (少年サンデーコミックス)
ぜひ読んでみて欲しいです。とてもギャクなどはおもしろく笑えます。僕はこの漫画をみて自分の性格などにとても影響が出ました。優しくなろうと思ったきっかけの漫画です。 お茶にごす。 コミック 全11巻完結セット (少年サンデーコミックス) 関連情報