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沼正三 家畜人ヤプー〈第1巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

20年くらい前にはじめて読んだときは、その荒唐無稽さに唖然としながらも、めくるめく倒錯の世界に異様に興奮した覚えがあります。今再読すると以外にも緻密な設定や、イースの生活における利便性が、現代の我々が求める利便性と重なると感じる部分があり、あらためて感心しました。この作者の他の作品は知りませんが、かなりのオタク的天才だと思います。 家畜人ヤプー〈第1巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫) 関連情報

沼正三 家畜人ヤプー 第一巻 (幻冬舎アウトロー文庫)

もとはSMマニア向けですが、今や異端の文学として超有名ですね。筋書きより未来社会イースの風俗や思想を楽しむ(?)作品です。イースはまず徹底した人種差別社会で、白人貴族・白人平民・黒人奴隷、ここまでが人間で、その下にヤプー(日本人の末裔)がいる。ヤプーは生体手術を施され、生きた道具やペットや食肉となって文字通り身も心も白人に捧げ尽くす。またイースは「女は外で働き、男は家を守る」女尊男卑社会。男性は毎日のメイクやむだ毛処理がエチケットとされ、「体の構造から言っても女はズボン、男はスカートが当然」であり、活動的なのは女性の特権で、男はしとやかで愛嬌があることが美徳。荒唐無稽なようで、でも考えてみると笑えない。女尊男卑の屁理屈だって、男女ひっくり返せばこんな男尊女卑論は実際大真面目にまかり通っている。人種差別だって、日本人が思っている以上にきっとあるんだろうし・・・しかし、そんな理屈より、めくるめく倒錯にくらくらするのが多分正しい読み方。SM趣味の無い人でも変わったSFとして楽しめると思いますよ。 家畜人ヤプー 第一巻 (幻冬舎アウトロー文庫) 関連情報

沼正三 家畜人ヤプー〈第5巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

5巻はいよいよ完結編。最後の最後クララが麟一郎にかけた情けとそれに対する麟一郎の答えが深い。全5巻を読んでみた感想は、エログロな部分もあったが、とんでもない妄想力に舌を巻きつつ、時に「これ書いた人バカだなあ(良い意味で)」と爆笑し、時に「実際こんなことになったらどうしよう」と恐怖し読み進めてきた。3,4巻で著者が1人で楽しくなっちゃってディテールの説明をだらだら続け過ぎて中だるみがあったのがしんどかった。そういう無駄に長い部分を削って2巻くらいにまとめたらもう少し一般ウケする壮大な変態ファンタジーになると思った。 家畜人ヤプー〈第5巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫) 関連情報




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