「他人の心を読む」というのは「タイムトラベル」と並んで、人間が最も持ちたいと思っている超能力とのことであるが、本書で取り上げていることはマジックではなく、我々が日々の暮らしの中で、相手の考えや感情を推し量る為に使っている「読心術」であり、科学的な手法で、「心の視力」を高めようというものである。その一方で、筆者は他人については分かることと分からないことがあるという謙虚さを持ち、自分自身の洞察力に対する幻想も捨てる必要があると述べている。本書を読むと、色々な事例を基に読心術のレベルを上げる手段が紹介されるが、結局の所、家族の様な身近な人間についても心の底までを知ることは容易ではない。他人の心持が知りたければ、直接本音を聴くことが最も大事であり、如何にしてそのような雰囲気や状態を創り出すか、そのような意識を持つか、ということが家庭においても職場においても重要なことであろうと思われる。 人の心は読めるか? 関連情報
チェロの名手・藤村俊介さん4枚目のCDは、半数以上のトラックが2台のハープとの饗宴という贅沢な趣向で多彩な音楽紀行が楽しめる。チェロ小品集というと、 “クラシックの定番名曲を集めた癒しの・・・・”というイメージが強いかもしれないが本CDに収録されている曲目には、超定番の名曲から一般にはあまりなじみが少ない作品も並ぶ。しかし、作曲家や曲名を知らなくても何度か聴いているうちに旋律が耳になじんでくる親しみやすい曲が選ばれているのでクラシック初心者でも心配はいらない。チェロ演奏曲で最もポピュラーな「白鳥」もふだん聴きなれたピアノ伴奏ではなく2台のハープによる演奏が新鮮に感じられる。ロシア的な憂愁の念が感じられる作品やスペイン趣味の旋律を好んだラヴェルの「ハバネラ形式の小品」、ロマンティックな歌曲(フォーレ「夢のあとに」、ポンセ「エストレリータ」)から讃美歌(「アメイジング・グレイス」)までバラエティに富んだ選曲と力が入りすぎない円熟味あふれる演奏で飽きさせない。特に、映画「ゴッド・ファザーPart3」の悲劇的なエンディングシーンでも使われているマスカーニのオペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』の「間奏曲」は、舞台となるシチリアの輝くような青い海をイメージするような美しい旋律が鳴り響き、映画を見たときの感動がよみがえることだろう。 ハバネラ~チェロ小品集~ 関連情報