歴史ファンならずとも「そうだったら、すごいことだな」と思いをはせるのが、歴史上の英雄が死なずに別地で生き延びる伝説だ。イエス・キリストが青森県に渡ったとか、源義経がモンゴルに行って成吉思汗になったとか、明智光秀が天海和尚になって徳川幕府を支えたとか、豊臣秀頼が薩摩に行って隠遁生活を送ったとか。その中でも最も有名なのが、源義経がモンゴルに行って成吉思汗になったことだろう。何せ、ぼくがその伝説を聞いたのは小学校の社会の授業なのだから!この『成吉思汗の秘密』では、神津恭介が、なんと入院中にその秘密を暴くというモノ。小説の中だから、どうとでも話を作れるので、どこまでが資料に基づいた推測でと言うのは分からない。でもまあ、ほかの歴史検証エンターティメントもどのように資料を解釈しているのかは分からないので、同じことだが。(でもだったら、わざわざ神津恭介に登場してもらわなくても、高木彬光として持論を展開すればいいのに、紛らわしいとちょっと思う)神津恭介と井村博士とのやりとりで、推測の検証になっているのだが、最後の心中事件で一件落着というのは解せない。高木彬光が、「そろそろお時間となりました」と強引に終わりに持っていったようで。。。 成吉思汗の秘密 新装版 (光文社文庫) 関連情報
土曜ワイド劇場で放映された、「神津恭介」シリーズの第3弾。原作とは結構違うのですが、推理TVドラマとしては、登場人物の設定や動線、伏線の張り方、最後の解決部分の意外さ、など、面白く見ることが出来ると思います。見て損はしません。 探偵神津恭介の殺人推理3~魔笛に魅せられた女~ [DVD] 関連情報
人形はなぜ殺される 新装版 高木彬光コレクション (光文社文庫)
トリックの奇抜さ、犯人の奇抜さが優れた作品。横溝正史やカー風のおどろおどろしさも見られ、刺青殺人事件よりも怖い。ひひひひひと笑う杉浦氏や首部分が人形の頭にすり変わってる死体、オールドブラックマジックと言われる悪魔の儀式。マニアなら必読です。 人形はなぜ殺される 新装版 高木彬光コレクション (光文社文庫) 関連情報
前のやつは確か裸の女の人だった気がしますが、今回は若い世代受けを狙ったカバーであろうか。気に入りましたので刺青殺人事件3冊目に買いました。密室トリックは本陣殺人事件を改良し、本質的なところはヴァンダイン作品を参考にしているこの作品。いや、でも時代を感じるとはいえ個人的には面白い作品です。刺青の歴史のところなんかは刺青とか不良の物だろとか思ってる私でも熱心に読んでしまいます。神津恭介作品は、傑作が多いので古き良き推理小説を探してる方は一読してはいかがだろう。トリックが現代の小説にも引けを取らない、人形はなぜ殺されるという大作品がこのあとに残ってますよ。それ以外の高木彬光作品なら、白昼の死角や能面殺人事件もおすすめです。 刺青殺人事件 新装版 (光文社文庫) 関連情報
登場人物があまり多くないので、犯人当てのミステリーとしては物足りないかもしれない。しかし、きっちりと物的証拠を集めて犯人を追いつめる推理は、この作品ならでは。 可愛かずみの初々しい演技にも注目。冒頭の、ある電化製品を使ったトリックは単純でどこにもありそうだが、原作にはないドラマのオリジナル。ミステリーファンならこれだけでも見る価値がありそう。 松下研三役の大和田獏と研三の兄で警視庁の警部・英一郎役の岸部シローとのコミカルなやりとりが面白い。 神津役の近藤正臣のカードマジックの腕もこの作品ではかなり上達しているようだ。カードを使ったエンディングのタイトルロールは、奇術趣味をとりいれた本シリーズらしく、ラストに少し変わった趣向が凝らされているので、最後まで目が離せない。 探偵神津恭介の殺人推理6~私は殺される~ [DVD] 関連情報