北朝鮮建国神話の崩壊―金日成(キムイルソン)と「特別狙撃旅団」 (筑摩選書)
金日成が北朝鮮のリーダーとなった、その経緯のいかがわしさ正当性をを問う著作は数多くあるが、数々の文献を渉猟し当事者に当たった本書は、それらの決定版といってもよいだろう。北朝鮮建国時、リーダーに目される人はたくさんいた。金策(キムチェク)崔庸健(チェヨンゴン)許哥誼(ホガイ)それなのに、なぜ金日成だったのか。バックにいるソ連軍にとってはロシア語がしゃべれるいわゆる若造の金日成が、最も扱いやすそうに見えたのである。金日成は、抗日戦線の勇将ではなく、「ウラジオストックから元山(ウォンサン)へ、密かに船でやってきた」 北朝鮮建国神話の崩壊―金日成(キムイルソン)と「特別狙撃旅団」 (筑摩選書) 関連情報
「犯罪の凶悪化は進んでいるか?」というところから始まって、日本の治安や刑事司法の特徴を西洋との比較を織り交ぜながら説いた本。犯罪が凶悪化しているとはいえないという指摘は、現在においてはいろいろな本・ブログで指摘されていることで、肯定的に評価してよいだろう。しかし、そのほかのところは、どうも釈然としないところが多い。何点か挙げると、(ア)継承者の不在は技術革新の問題もあるのではないか、(イ)「現場の鬼」との1対1のコミュニケーションを重視してビデオ導入に反対するのでよいのか(自白の任意性を争う事件は結構多い)、(ウ)地域共同体に期待できるか(長時間労働に関する考察がない)、(エ)どこの国でも、どんなモデルでも治安に対してどこか不都合が生じるのはやむを得ないのではないか、など。以上のように、犯罪が凶悪化しているとは言えないと指摘したところが星5つ、他のところは星2〜3つ、全体として星3つ。 安全神話崩壊のパラドックス―治安の法社会学 関連情報
「ドラクエ」「信長」ソフト産業の崩壊―神話の正体は!? (カッパ・ビジネス)
この本は割と拾い物で面白いです。日本のゲームソフト史というと、まず任天堂とファミコンを中心に描かれるのですがこの本ではそれが光栄とエニックスが主役です。任天堂・ナムコ・コナミ・カプコン等がゲームセンターの業務用マシン発祥なのに対して、光栄とエニックスはパソコンゲーム販売が発祥なのですね。ただ、両社の意外な原点も語られます。光栄は創業者(=シブサワコウ)が栃木県足利市の繊維業を親から継いでそこから自作のパソコンプログラムを販売するところから始まります。エニックスは創業者が公団住宅の情報提供会社を起こすところから、自動すし製造器の輸入などを経て、パソコンプログラムコンテストに雑誌I/Oの有力投稿者を招くところから始まります。1992年当時のビジネス本として書かれているのですが、これももはや歴史ですね。今やビッグビジネスとなったゲームソフト産業もこんなところから始まったのだなあと結構面白く読めます。 「ドラクエ」「信長」ソフト産業の崩壊―神話の正体は!? (カッパ・ビジネス) 関連情報