若いうちに、この漫画と出会っているかいないかで、笑いがわかる大人になれるかどうかが決まる。(年食ってから読むこともないでしょうけど)この本を読んで、喜国のようにエロ・いじめ・貧乏・差別といった負の要素をもったネタを、肩透かしで笑いまで持っていく技術を身に付ければ、カロミを持ったイカシタ大人になれること間違い無し。さもなければ、そういう局面に出会ったときに、眉間に皺を寄せるだけのつまんない堅物に成り下がるかまたは、ホントに無粋で卑しい加害者になってしまうかだろう。小難しく解説しましたが、単純に笑えます。 Heartbroken Angels, Vol. 1 関連情報
喜国さんがボランティアをしていることを知ったのはシンヂさんつながりでした。震災当時原発事故にからめてコンクリ注入ポンプ車の使用をツィッターで発言してたのがシンヂさんでした。以来フォローしていると喜国さんがシンヂさんのマラソン仲間だとわかったのです。喜国さんのブログを見たりしてその行動力に感歎しました。この本には普通の人の目線から見た被災地の状況とボランティアたちの努力が述べられています。心ある人たちへおすすめの一品。 シンヂ、僕はどこに行ったらええんや 関連情報
『BURRN!』創刊時の愛読者だった私にすらさっぱりわからないネタが少なくありませんが、それでも、ここまで共感できる(ところがある)、膝を叩ける(ところがある)作品というのは、めったにありません。これが一冊にまとめられたことは、本当に素晴らしい。ありがとうございます。ちなみに、メタル者としての作者ももちろん好きですが、ミステリ者としても尊敬しております。『メフィストの漫画』も傑作でした。 ROCKOMANGA! 関連情報
この世には2種類の人間がいる...「走る人と走らない人である」。私も先ごろ旅行に行った広島で初めて旅ランを実践。これが予想以上に楽しかったです。走る理由や走り方は十人十色。本書は失礼ながら職業イメージ的にはおよそ「健康的」とは思えないマンガ家さんによる異色のマラソン(ランニング)エッセイ。同じくマラソンを題材にしたコミックエッセイではたかぎなおこ女史によるマラソン1年生という好シリーズもございますがタッチや印象は全く違っていて、走るという行為に対するアプローチの違いが見れて興味深い。やはり体一つで始められるランニングは正に個人スポーツの極致であり、そこにかける思いは非常にパーソナルなものなのだと思わされました。本書は全国の様々なご当地マラソンに参加するというアリがちなものとは一線を画したモノになってます。作者自身が興味の赴くままにテーマや訪問地を選んで基本的には一人で(編集者をお伴に)走るという一風変わった内容。大会でなく個人で自主的に走るのは逆に難しさもあるんじゃないか(モチベーション的に)なんて心配も湧いてまいります。作者の持ち味としてギャグやユーモアも多々盛り込まれてはいますが、走る人なら「あぁ、あるある」と共感する部分と「へぇ〜、さすがは漫画家さんだなぁ」と目の付け所や風景から浮かぶ心象に感心させられる部分もあって楽しく読めます。エッセイ部分(文章)もありますが、さすがはプロ。ほぼ90%以上はきちんとマンガで構成されております。過酷極まりない極寒の北海道や凍てつく箱根駅伝のコース、丑三つ時の京都(地元民からするとよーやるわと言う感じ)等、特色あるコースばかりです。中でも作者自身がボランティアとして関わって来た被災地、東北のコースを描いた部分はプロの漫画家の目に映る風景の変化に対する考察もあって読み応えがあります。これを読んで走り始めようかなと思う方がいらっしゃるかどうかは微妙ですが、走るという行為の自由さを感じさせるという意味では好著と呼んで差し支えないと思います。しかし笑い飛ばしながら読んでいると「実はマラソンはあまり健康に良くないんじゃないか...」なんて思わされもいたしました(笑)。斯様に楽しめる読み物でしたが、印刷の具合なのでしょうか使用されている写真の解像度が低く見にくいのが少し残念でした。続編を楽しみに待ちたいと思います。 キクニの旅ラン―走りたおすぜJAPAN! 関連情報