シンガポール戦 商品

シンガポール戦 マレー・シンガポール作戦 (秘蔵写真で知る近代日本の戦歴)

購入動機は上述のとおり。「無計画に事を進めた」と酷評される昭和期の旧日本軍だが、南方作戦までは一応それなりの計画を立てていたという。「マレー・シンガポール作戦」と題しながら、香港攻略作戦についても言及するなど、概説書としてみるにはかなりよいと思われる。特に第一章の「南方作戦の構想」は、本作戦が日本一国の事情のみではなく独ソ戦を開始した(国力以上に戦線を拡大してしまった)ドイツからのツヨイ意向があったことを紹介する。旧日本陸軍は、その成立からロシア(ソビエト連邦)を仮想敵としており、南方への戦線拡大は消極的だったと聞くが、陸軍内に流行っていた「ドイツびいき」(一方的な思い込みに過ぎなかったが)の風潮が、作戦実行を推し進めてしまったのかもしれない。南方作戦は、ボルネオ島にあった石油資源確保が作戦目的のひとつだったが、実際のところ活用できたか否かについては「技術者たちの太平洋戦争(石井正紀著・光人社)に詳しいので参照されたい。 なお、著者は「三光作戦」等の著作を持つ人物で、思想的には旧日本軍および日本の政策に批判的な立場の人間と推察される。対中戦争は、当時の交戦者(国民党)と現在の中国の支配者(中国共産党)が異なる上に、日本敗戦後に4年間続いた国共内戦における犠牲者が日本軍の犠牲と混同されがちであること、また、宣伝謀略戦が活発に展開された等の事情から、事実認定が非常に難しいのが実情である。読者諸兄は、本書がこのような思想的傾向を持つものによることを念頭に置きつつ「事実確認作業」という観点を維持しつつ一読されたい。 マレー・シンガポール作戦 (秘蔵写真で知る近代日本の戦歴) 関連情報




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