ペテン師と天才 佐村河内事件の全貌
去年、世間を騒がせたゴーストライター事件の真相ですね。面白く一気に読みました。一部は週刊文春に掲載されたものですね。佐村河内、この苗字がインパクトありましたね。平安時代から代々続いていそうな高貴な感じの名前。しかし、長髪、サングラス、杖、手には包帯って格好が胡散臭かったですね。自分を如何にして格好良く見せるか、他人から注目を浴びることができるか一生懸命な彼の人生が暴かれて行くのです。
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小説・新島八重―勇婦(ハンサム・ウーマン)、最後の祈り
面白く読んで、読後しばらくして、三部作の完結編だった、と気づいた。つまり、それだけ完成度が高い、と言えるのではないか。とは、自分の間抜けの自己弁護か…。新島八重(子)さんに関する本を読んでいくと、彼女の人生は、会津時代が背景にあるとしても、京都に移ってから、真の意味で「ハンサム・ウーマン」になっていくのだと、感じる。本書は、説明調、時代考証に走りがちで、小説として「読ませる」部分が弱く感じる新島八重(子)を題材にした多くの小説の中で、時代背景をふまえつつ、小説として読者を惹き付け、楽しませるという点で、出色と言って過言ではない。次のページ、先が気になって、なかなか本を閉じられず、一息に近い勢いで読んでしまった。206ページの間違いは、ご愛嬌。新島八重(子)と深井英五に接点があったとは!主人公を取り巻く登場人物にも興味を持たせるなんて、うまい作家だなぁ。
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音楽という<真実>
興味本位プラスクラッシックへの関心で読みました。問題のCD交響曲「ヒロシマ」は発売されてすぐに購入しました。マーラーやブルックナーのような音作りをぼんやりと期待していましたが、後半部分を聞いたとたん「これゲーム音楽じゃん!」と驚きました。こうした楽曲でオーケストラメンバーが演奏しながら「涙を流していた」との説明書きを読んで逆に信じられませんでした。それ以降、聞いていません。また、佐村河内氏の「交響曲第1番」も買って読みました。で、しばらくしてこのスキャンダルになりました。唖然としたものです。ところで、新垣氏の佐村河内氏へのスタンスが、避難一方ではなく、むしろコンビとしての成果を強調する面があるのが意外でした。この詐欺師がいなければ自分は世に出なかったから、ということがあるのかもしれませんが。
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ロンド 珠玉のヴァイオリン曲集
キレのいい、乾いてよく響くバイオリンの音が男前な磯さんそのままに聞こえます。ひばりの音がきれい。新垣さんのピアノも張り切って伸び伸び聞こえます。選曲もわかりやすいセレクトで、相性の良いのがわかる、聞いていて気持ちの良いアルバムです。
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音楽という<真実>
彼と吉田隆一さんの合作である「N/Y」は買いましたし、ライブにも行きました。素人ながら、僕はとても感動しました。なので、この本はとても楽しみにしていて、買ってすぐに読みました。いわゆる聞きおこしなので、読むのは簡単です。で、最初にこれは注意しないと、佐村河内級の嘘になってしまうので、2点書いておきます。* 本の説明に「天才少年」とあるけど、有名な先生について認められているものの、特にコンテスト破りの常連だったとかのエピソードはなくて、大学の頃はむしろ出来過ぎる周りにコンプレックスを感じていたくらい。要するに「優秀」ではあっても、「天才」は言い過ぎ。* 本の帯に「ベートーベンに憧れて」とあるけど、ベートーベンの話はほとんど出てこなくて、むしろ武満徹の方が好きなくらい。多分、この本で音楽家として一番頻出するのが武満徹の名前かと。出版社は、こういうことはやめてほしいですね。本の内容は、すでに報道されてることと大きく違わず、特に目新しい事実はありません。ただ、"無垢な音楽家が巻き込まれただけ"とするには足りなくて、新垣さんも意外にしたたか。佐村河内の耳が聞こえない「設定」に、手話の真似事で付き合ってみたり、佐村河内が依頼した60分の壮大な交響曲の依頼を、「そんなCDが作れるのか。/私は無理だと思いました。」という見込みであえて引き受けて、「ある種のコンセプチュアルアートのようなもの」として作成してしまったり。要するに、新垣さんは、最初から性格に疑問を感じていた佐村河内の自然消滅を狙っていたんですね。そうすれば、佐村河内以外は誰も傷つかないから。そうなってくれれば、単に面白くない思い出の一つで済んだ。それはある程度まではうまくいった。だけど、佐村河内の凡庸かつ傲慢ゆえの執念のために、一部は実現してしまう。結果、これを思い出ではなくて、スキャンダルとして処理せざるを得なくなったというのが、真相のようです。また、NHKのドキュメンタリーがあれだけ糾弾される理由がわからなかったのだけど、一度怪しいということで、ドキュメンタリーの企画が流れたことがあるんですね。やっとわかりました。一方、大きな罪の意識を感じながら、それでも大学を辞めるだけで、音楽活動を続けようとする新垣さんにいささかの疑問を感じないではないですが、彼から音楽を取り除いたら何も残らないし、何よりも彼を支持する大勢の音楽家がいたことを良かったのでしょうね。本の出来不出来はなんとも言えません。自叙伝+暴露本という内容もなかなか評価しづらいところがあります。ただ、ひとつ功績があるとすれば、話しかけても挙動不審な返事しかできない朴念仁(ライブで見ると、そんな感想しか持てない)からこれだけの内容を引き出したことじゃないでしょうかw
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