人間の汚さを描かせたら日本一の作家、新堂冬樹のクライム・サスペンス。銀行に籠城する犯人とそれを追う刑事の話、といってしまえばそれまでですが、さすが新堂冬樹。すごいことになっています。人質を全裸にさせて胸にマジックで名前を書かせ、命令を聞かなければ即座に射殺する。こんな徹底した恐怖で人質を動かしていく犯人は(心理描写は別ですが)新堂冬樹にしか書けません。ただ、昔の黒の新堂作品と違い、とにかく狂ってる、汚い、醜いではこの作品は終わりません。救いというか人間味というかそういうものがちゃんとあります。僕は真っ黒な新堂作品が好きなのでこの部分はちょっと好きではありませんでしたが、ここら辺は好みの分かれるところではないでしょうか。新堂冬樹らしさうんぬんを除けば、とてもよくできたエンターテインメント小説です。 銀行籠城 (幻冬舎文庫) 関連情報
ドラマCD オジサマ専科 Vol.10 into the castle~籠城幻夢~
※若干ネタバレがあります。ご了承ください。神奈さんがご出演と聞いて購入しました。本シリーズの購入はこれが初です。設定が戦国時代後期(大坂冬の陣)ということで、ヒロイン(聞き手)の出生は大名・浅井家の姫君。シリーズの他作と比べれば恐らく異色だと思います。常に時代言葉ですが専門用語が飛び交うわけではないので、動画サイトで聞けるサンプルを違和感なく聞けた方なら大丈夫です。歴史の知識も、豊臣方と徳川方が争ってることだけ踏まえていれば十分だと思います。(大名家同士の繋がりを真剣に考察すると、浅井の姫が豊臣方で恋に落ちるのか?など根底から疑問に思えてしまう可能性もあるので…寧ろ『気になった所だけ後で調べるなどして、あまり深く考えない方が良い』が正しいかもです。)*■大野治長:CV神奈延年さんヒロイン(聞き手)の直属上司。実質的に大阪城の全てを取り仕切る立場なので、武士というよりも政治家寄りの思考。時には誇りを捨てるような選択も必要だと割り切っていますが、その為に常にピリピリしていて気の休まる暇もない様子。■後藤又兵衛:CV磯部勉さん豊臣に従事する武士の一人。先述の大野治長とは正反対で、昔気質のまさに『武士』を絵にかいたような男性。戦場に生きて戦場に死ぬのが自分の人生であると強固な意志を持っていて、大阪城を死に場所と決めています。■真田幸村:CV郷田ほづみさん豊臣に従事する武士の一人。とても大らかで人当たりが良く、考え方も大野治長・後藤又兵衛の中間を行く感じ。幼少期に人質・幽閉と抑圧された生活を送っていたことから、熟達した思考と正反対の無邪気な一面を隠しています。物凄く雑に言えば大野VS後藤。真田は中立。ヒロイン(聞き手)は三者三様の意思・生き様に触れ、考えて行く立場にあります。*BGMもとても美しく、場面転換の際にかかるメインテーマはまるで大河ドラマのようだと思いました。恋愛面に関してですが、本編Discで「想いを寄せてくれているんだろうな」「距離が縮まったな」という雰囲気はあっても、恋人同士の甘い空気になるのは完全にSweet Time Discに入ってからです。自由恋愛がなかった時代だと思えば当然ですし、寧ろそこを徹底している制作陣にとても好感を覚えました。ただ抱きしめられただけで胸が苦しくなるような…そんな戦国の世界観に引き込まれてしまいます。時代やそれぞれの身分・立場ならではのシリアスも、意外な所で挟み込まれているギャグも、全てあわせてとても楽しい一作でした!個人的には、神奈さんが(良い意味で)あんな演技をなさるとは思わず…不意を打たれてつい笑ってしまいました。他にも、厳格なキャラを演じている磯部さんが狼狽えたり時には焦ったり。朗らかな郷田さんが思わぬ大胆不敵さを見せつけたり。是非、楽しんでください! ドラマCD オジサマ専科 Vol.10 into the castle~籠城幻夢~ 関連情報
交渉人シリーズの第三弾。今回は交渉人の遠藤麻衣子が、客を監禁・籠城した喫茶店の店主に挑む。しかし、立ちはだかるのは少年法の壁…冒頭から犯人と交渉人の緊迫した駆け引きが続き、少しづつ犯人の目的が明らかになるという展開が非常に面白い。交渉人の遠藤麻衣子の冷静沈着な対応にも魅力を感じた。前二作に比べると犯人が籠城する喫茶店だけを舞台にしてストーリーが展開され、場面の切替わりがなく、少し物足りなさを感じる。 交渉人・籠城 (幻冬舎文庫) 関連情報
シンプルで面白い・・・この一言に尽きます。最初の方はそんなに深く考えなくてもクリアできますが、そのうち、ちゃんと考えないとクリアが難しくなってきます。このあたりのバランスもGOOD。ついついのめりこんでしまいました。 風雲! 大籠城 関連情報
「要塞警察」Blu-ray+「真夜中の処刑ゲーム」DVD 籠城映画2本立て エクストリーム・エディション
「真夜中の処刑ゲーム」は初めて見ました。2作品を比較すると「真夜中の処刑ゲーム」のほうが面白かったです。「真夜中の処刑ゲーム」はDVDのみでの取り扱いということで画質は良くないのだろうと思っていましたが予想どおり画質は悪いです。イメージとしては VHS を暗いシーンを見やすくするため黒レベルを下げそのまま DVD に焼いちゃいました的な出来です。「要塞警察」は画質は良くなっていましたが、もともと映像美を売りにした映画でなはないので、映画に対する効果は限定的だったと感じます。やはり、リメイク版の「アサルト13」の方が面白いですね。まあ、B級監督カーペンター作品をコレクションできたという単なる自己満足感はあります。別に買わなくて良かったという印象ですが、買うなら2本立てがいいと思います。ブックレットの表裏は当時の別のポスター仕様で良かったですし、パッケージは2枚のディスクを同一のケースに保管する形式でその点も良かった、パッケージのデザインも当時のポスター仕様でよかったです。しかし、そのケースを保管するスリーブケースの表紙が「2本立て!」とか変なキャッチコピーで残念でした。それに、内容のわりには値段が高すぎる印象です。通常、私は観てない映画は一度レンタルしてみるタイプですが、本商品の発売日にTUTAYAに行ってみると、何の告知もなく2本とも発売日同日にDVDをレンタルを開始しているのが印象悪かったです。また、その店では誰ひとりとして借りていなかったのが更に印象悪かった。翌日も誰も借りていない・・・こんなことならレンタルで済ませればよかったと思っています。 「要塞警察」Blu-ray+「真夜中の処刑ゲーム」DVD 籠城映画2本立て エクストリーム・エディション 関連情報