レビューを見る限りなかなか好評であるようだが、シャンプーがあまたありまたいろいろな髪質・頭皮質を持っている方がいる中、「わたしには合いました〜」というレビューはあまり意味がないように思われる。また、ある程度好感触を持った場合でも、継続して使ってみないと効果は実感できまい。現在、まだ使い切っていないが、毎日使えば二ヶ月は持たない。今の減り具合からみると、一ヶ月ちょっと? 筆者的にはこの値段のものを継続して使おうとは思わないが、女性の方ならこのくらいの出費は気にしない方が多いだろう。サンプル的に一本買ってみて、使って効果を判定してから続けて使うかを決めればいいのでは。
どんな自己啓発の類の本を読むより、非日常という特殊な、しかし絶対的なまでの過酷な競争社会で己を晒して生き続けている「藝人」と呼ばれる方々の生き様から学んだほうが、よほどためになる。その考えを再認識させてくれたのが『藝人春秋』であった。
古舘伊知郎さん、やっぱりすごいですね。プロレス実況の「動」と、その他の報道番組などで見せる冷静、ある意味冷徹なまでの「静」に徹するトークスタンスに、昔からずっと不思議な、神秘的なオーラを感じていた。
驚いたのが、最終章の稲川淳二さん。稲川さんの息子さんの由輝くん、クルゾン病という難病中の難病を患っており、その最愛の息子の闘病を支える稲川さんと奥さんの苦闘生活を知り、言葉を失いました。
「『すばらしき仲間』のリハーサルの時でした。女房に電話したんです。休憩時間に。そしたら女房が、『ゆうちゃんだめかもしれない。手術しても助かるかどうかわからないんだって・・・・・・』と。目の前がフワーッとしましたよ。それでも本番では笑いながらギャグをやって、・・・つらかったです。本当につらかった。車のなかでマネージャーに、『こういうときの仕事はつらいね』って冗談っぽくいったのを覚えています。で、フジテレビに着くとすぐ、リハーサルなしの本番でしたから、マイクをもっていきなりね。ギャグをとばしながら、ふと見るとマネージャーが壁にもたれて、しゃがみこんで『ウオー、ウオー』て声を出して泣いていて・・・・・・。』
「この子を生かすって、大変でしたよ。本当に子供を殺そうと思いましたからね。ベッドで寝ている姿を見て、『やっぱりこいつは殺してあげたほうがいいかな』って。仕事の合間をぬってなんとか病院に顔を出したら、手術が終わって、エレベーターから子供のベッドが、すーっと出てきたんです。点滴がダーッと下がってるんですよ。まだ生まれて間もないのに、口だけが出て、あとは全部包帯なんです。体という体には全部管が刺さっているんです。それ見た瞬間、ワタシね、泣いたな。・・・・・・俺は最低な父親だって。こんなに必死で生きて、こんなに頑張ってる子供を、俺は殺そうと思ったんですから。情けなかったですね。そのうち子供を乗せたベッドが遠ざかっていって、私は通路に向かって叫びましたよ。我慢できなくて、叫びました・・・・・・『ユキ!とうちゃんだぞッ、俺はお前の父ちゃんだぞ!』どなりましたよ。どなりましたねぇ」
読んでいて涙腺が崩壊するほど泣きました。
華やかなテレビの世界では、自らの芸能生活の寿命を縮めないためか、視聴者は俳優・タレントが持つポジティブな属性しかほとんど読み取ることができません。しかし、どれほど売れても、どれほど大御所と呼ばれる存在になっても脆弱な人間であることに変わりはなく、本来晒すべきではないネガティブな実生活の領域を語った稲川淳二さんの強さに心を鷲掴みにされました。
水道橋博士、本当に師匠のことが大好きなんですね。頭が白髪になっても、何歳になっても。いつまでも心は憧れを持つ青年時代のまま。そして、自らの職業とした「藝人」を、心から愛している。
一番星に憧れ続ける永遠の青年・
水道橋博士が描き切る濃密な藝人論。傑作です。