とても綺麗な表紙に引かれて購入しました。
宮原るりさんの作品を読むのは初めてですが、流麗な
タッチ、とても綺麗な線を引く人ですね。それと、奇妙な人間を書くのがすごく上手い。意表をつくぶっ飛び方が読者を不意に笑わせます。というか、この河合荘の住人はなんらかの意味で殆どがぶっとんでいるので、油断して読むとやられますね。変処理というあだ名通り、突っ込み役の主人公宇佐君がばさばさと変な人やら変な発言やらを切っていくさまは痛快。ただ、河合荘になじむにつれて彼その人も変人として覚醒しつつ在ります。こたつの描写なんか、理解できるけども!
このマンガはいくつもの読み方で楽しむ事ができます。恋愛系のマンガとしても、コメディとしても、自己啓発(!)としても。巻を重ねるごとに無表情から始まった律ちゃんの、その表情が溶けていくのがわかります。カラー絵も非常に綺麗で、目次も、表紙裏のやりとりも面白い。
彼女と宇佐君との関係は読んでいてどちらの視線でも楽しめますし、女二人のやりとりも面白い。まゆみさんという平穏の破壊王と化した独身女性とさやかさんという悪魔的な知恵を持つ地雷はストーリーに一味も二味もくわえています。家主の住子さんも健全なおばあちゃんでないところもいいですし、ただ、何と言ってもいくら切り倒しても(嬉々として)立ち上がるシロさんの存在がこの本の起爆剤として笑わせてくれますよね。恋愛コメディとしてすごく上質なマンガです。まだ五冊と短いですし、今から購入すればアニメーションの公開にも間に合うので、一巻から読んでみようという人も損はないかと思います。