今更レビューを書くまでも無い程、有名で評価の高い作品。
もちろん私も好きで聴いてます。
あえて別の視点から
オススメは、
ボーナストラックの名曲「Can't take my eyes off of you」のカバー。
特に弄るわけでもなく、良質な音に乗せて歌っている。
そのままなんだけど彼女の声が凄く似合っていて良い。
フージーズのメンバー、ローリン・ヒルのソロデビューアルバム。リズムとメロディに言葉を語るように乗せて歌い上げるローリン節(アレステッド・ディベロップメントに似た所あるがよりR&B性が高い)と言ったところか。彼女自身がプロデュースしたアルバムはクオリティ高し。Can't take my eyes off of you のカバーもうれしい。1998GRAMMY・Album Of The Year ,Best New Artist ,Best Female R&B Vocal Performance ,Best Rhythm & Blues Song, Best R&B Album受賞作品
このDVDで、ローリンは、かつての自分の虚栄を全面的に批判し、今は本当の自分にたどりついたし、常に変わりゆく自分を隠さないという趣旨のことを述べる。このDVDについてのライナー・ノートやレビューではなぜか無視されてしまったが、もしローリンのこの《転向》の要因を洋楽の一般的な問題として理解しようとするならば、おそらく重要なのは、彼女が、再三再四、神という言葉を口にしたことだけではなく、「オー、エルサレム」という歌まで歌ったことだ。
われわれ日本人は、洋楽において宗教が重要な位置を占めていることについては常に黙殺して洋楽を輸入しがちである。しかし、日本の「ゴスペラーズ」のアカペラとちがって、アメリカのもともとのゴスペルは、黒人牧師が教会で歌う福音・賛美歌だった。66年、ジョン・レノンは、インタビューで、ぼくらはいまやキリストより有名だ、と語ったがために、排斥運動・放送禁止処置の憂き目に遭い、ライヴの入りも悪くなった。このことが、ビートルズのライヴ活動停止の一因ともなった、と考えられている。ボブ・ディランは、突如79年から81年まで「キリスト教三部作」をリリースして世間をとまどわせた。U2は、『アイリッシュ・オクトーバー』の頃、アメリカでは、宗教色が強いと理解されたがゆえに、「堅苦しいやつら」と敬遠されがちだった。
今回このDVDを見て、日本人が無関心な宗教が、洋楽アーティストにとっては、まだまだ彼・彼女たちのキャリアを根本的に揺るがしかねない微妙な問題だということを思い知らされた。ローリンにおける神の行く末を静かに見守りたい。