演奏自体は荒いが、淡白な演奏でもなく彼自身の情熱が感じられる。しかし若さ故か出しすぎているところもあり技術的にはまだまだこれからといった所だろう。だが数十年後、彼がどのような演奏をしているのか今から楽しみである。
世界的にも著名なヴァイオリニストの五嶋みどり・五嶋龍の母親である
五嶋節氏が、いかに子どもと接し子どもを育ててきたかを語った本。
タイトルに「天才」とあるが、著者は「自分の子どもは天才ではない」
と言い切り、あくまで自分の子育ての仕方をそのまま知らせることが
できれば、というスタンスで書いている。
内容はやはり「ヴァイオリン教育」のことが中心なので、その方面に
興味がある人の方が、楽しく読める構成になっている。ただ、著者の
筋を通して、他の批判には耳を貸さず、自分の子どもに妥協を許さずに
接していく熱い姿が印象に残る。
また、長年一貫して自分の子どもへのヴァイオリン教育への熱はいつ
までも熱く、そのような母親の気持ちがあってこその五嶋みどり・龍の
誕生があったのだろう。その点、何が著者を、そこまでヴァイオリン教育に
モチベートさせるのかを語って欲しかった。