ダロン・アセモグルとジェイムズ・A・ロビンソンは序文で「アラブの春」の渦中にある
エジプトを引き合いに出し、本書の目指す方向性を焦点化する。貧しい国が存在する理由について、地勢に要因を求める説、文化的特性に原因を求める説、為政者(支配者)が適切な政策を打てないために貧困に喘いでいるとする説などまことしやかに流布している諸説をはね除け、筆者らは
エジプトのタハリール広場で拾った
エジプト人の訴えを本筋ととらえ、論を展開する。
第1章は南米が貧困に陥った経緯を歴史的事実をトレースしながら論じる。アメリカ・
アリゾナ州ノガレス、国境を隔てるフェンスの南側は
メキシコ・ソノラ州ノガレス、隣り合った町の住人の天と地ほどの貧富の隔たりを淡々と紹介した後、問題意識を提起し、南米の貧困の歴史を遡る。
第2章は現在の貧困や不平等の説明に使われる「役に立たない理論(説)」を具体的事例を通して論破する。所謂、地理説や文化説、無知説など、かつては有用であった考え方ではあるが、現在の硬直的な貧困を説明することはできない。
第3章以降、著者らの論を裏付ける歴史的事実が記述されていく。
問題意識と論の組み立てが明確で、翻訳も分かりやすく読み易いと感じた。国家の栄枯盛衰を決定するのは「人」であり、「政治」に帰結する。未来の日本はどうなるのか、この本から得られるヒントは多いと思う。
日本にはヘッドホンのメーカーが多いため、まだあまりスカルキャンディーの名を聞きませんが、デザインが独特なスカルキャンディーが多く輸入される日が間違いなく来ると思います。