いわゆるトレンディドラマとはちょっと異なる印象があり。
これは家族ドラマだ。いわずもがな、結婚というのは当人の都合だけでは済まない、
お互いの家族、親戚までも巻き込む一大事。七転八倒ぶりが窺えるドラマだ。
中良さげな家庭にも、それぞれみんな家族の軋轢、よそにはわからない事情を抱えてる。
当時、人気絶頂の主演女優今井美樹、個性派演技派大女優の片鱗が見え始めた
松下由樹の姉妹キャスティングは、見どころ満載だし
この時代のOLのきらびやかなファッションも当時、憧れの的だった。
対照的に主人公の実家は父親が一代で築き上げた町工場、というのが
よかった。(余談、新築マンションの価格…八千万円と言うセリフが
あったのでバブル期の世情が分かって懐かし&面白かった。)
内館ドラマって、出演者のなかで、ひとり本職の女優さんでないひとが
かならず出てるようだけど、それが新鮮で良い。
まっすぐでそっけない演技が却って目を引く。
このドラマでは、水口の恋人兼パトロンのお嬢様、いやな高ビ女だー、と本放送時は
思っていたが、いま見てみると、ツンデレで水口の気を引こうとして一生懸命で
なかなか可愛い女じゃないか、と思った。愛情表現が不器用なだけだったのね。
この登場人物たち、みんなどこか不器用で気持ちをストレートに表せなくて、見てると歯がゆくて
とてもせつない。唯一久美子だけがストレートで好き勝手やっていて、
カタキ役なのに見ていて小気味よかった。爽快だったと言えるくらい、
私はるり子よりも久美子のほうに肩入れして見ていた。
父役の伊東四郎がまた秀逸。なつかしい、今はゼツメツしてしまったような、
昭和の古き良き頑固オヤジ像そのものを、絶妙に好演しておられる。
この親父は、頑固だしちょっと横暴な所もあるが、自分は飢えても妻子は食わせるし、
学歴社会の理不尽さと辛惨を舐めた経験からだと思うが、
子供には教育熱心らしく、女の子でも大学まで上がらせるという、誇り高い日本の父親像だ。
妻に対する態度はちょっと酷い面もあるけど…この時代以前はごくごく当たり前、
だったのだろう(泣)(しかし、この奥さん、綺麗なひとで、優しくて家事は完璧だし明るいし
いつも身だしなみもすてきで、理想のお母さん、だなあ)
父親が伊東さんでなかったら、このドラマの面白さと感動は半減していたかも。
「るり子がよちよち歩きで、久美子がおれの足元をはいはいして、生まれたばかりの
セイジを腕に抱いたとき、おれは一生分のいい思いをさせてもらった、この後の人生は
くずでもいいと思った」
この場面を見るたび泣いてしまう。
出演陣の若い時を見て思い出に浸るのもいいし、いやー石田純一お若いっっ。素敵。
放送時にビデオ撮ったけど、劣化したこともありDVDが欲しくなって購入したが
大満足。
願わくば、
松下由樹の主演作、「オイシーのが好き!」もぜひ、DVD化してほしい。
ほんとにほんとに、観たい!!いつの時代に観ても、ほんとにこれ、元気が出るドラマだ。
あとうちだてさんの「都合のいい女」も、すっごく観たい。切望。なにがネックになって
DVD化してないのだろう??
…にしてもドラマだから仕方ないのか、偶然町で出会う、というパターンが多すぎて
ちょっと御都合良すぎ。東京を歩いてて偶然親しい知り合いとすれ違ったり目撃したり
出会ったり…なんて二十年に一度、あるかないかだ(笑)