盆休みに、久々に家でテレビ見ていてびっくりしました。保険のコマーシャルのなんと多いこと。「これ一つで、ばっちり」とか、「万一に備えながら老後の蓄えにも対応」とか、毎日聞いていたら、だんだんと感覚が麻痺してきました。
昔は、セールスレディが、職場に押しかけて来て、一家の大黒柱の感覚を麻痺させていました。ようやくその攻撃の手がゆるんだと思ったら、いつの間にか、在宅の主婦層を攻撃してたんですね。昔の方が、攻撃されているという自覚があっただけいいかもしれません。今は、知らず知らずのうちに、心が傾いてくるようで、怖いですね。
そういえば最近、女房の方から、「いざというときの備えは大丈夫かしら」なんて、10年前には決して口にしなかったような言葉が飛び出したりして、亭主もうかうかしてられません。
さて、この本は、第一に、そのような攻撃で麻痺させられた感覚を、正気に戻してくれる効能があります。コマーシャルのうたい文句を、具体例を示しながら、ひとつひとつ冷静に解説してくれるからです。まず、これを1冊購入して、本の表紙が見えるようにテレビのそばに置いておくだけでも、コマーシャルで澱んだ空気を中和してくれそうです。
それから、斬新だと思ったのは、ファイナンシャルプランナーが書いた本なのに、保険の話だけにとどまらないで、保険以外の分野も総動員して、万一の疾病に備えようという主張が述べられていることです。
今まで、このような切り口の本は無かったと思います。まず、斬新だと思って、その後、これが正論だったんだと気づく。病気が怖いからといって、保険だけにお金をつぎ込むことの、非合理性を実感します。
「病気には保険」、これは誤り。「病気にはライフスタイル」。至極当然な結論ですが、見失っていたことを取り戻してくれた1冊でした。
生命保険の見直しのために、数冊まとめ買いをして読み比べてみました。
「A会社の保険はダメ」などの過激で不安を煽る記載はありません。「入るべき保険は、終身医療保険、収入保障保険、変額終身保険の3つ」「保険の利回りが固定されている定額型の終身保険を選ぶということは、現在の史上最低
金利を永遠に続けるということ」など、基本事項が冷静な文体で書かれています。図やグラフもシンプルで、いい配分だと思います。平成19年9月時点での取材に基づく内容なので、比較的新しいということも保険を調べる上では重要な点です。
生命保険の基本事項を知るうえで、ずいぶん参考になりました。ただ具体的な生命保険商品への批評は書いてありません。自分の入っている保険商品の確認、あるいは加入を検討してる商品について知りたい方は、「生命保険のウソ・ホント」「こんな生命保険は今すぐやめなさい!」のほうをおすすめします。