GTO反町が今までの殻を脱ぎ捨て、寡黙な男に挑戦した作品です。
彼にはそんな一面もあったのかと思い、正直驚かされました!!
製作発表の記者会見では、同昨主演の
山崎努が、
「反町君の新たな一面を見ることになるだろう。
いや、本当はこれが彼の奥底にあるものなのかもしれない。」
というようなことを言っていましたが、確かにその通りでした。
彼が演じる役は、全篇を通して必要なこと以外はほとんど語ることなく、
しかし、ラストでの彼の告白に心を揺さぶられる人は少なくないでしょう。
脇を固める役者陣も素晴らしく、
山崎努は、消すことが出来ない心の傷を抱えた看守役を
渾身の演技で表現しています。他にも、大杉連・笑福亭鶴瓶・
大滝秀治などの出演者が
作品に厚みを持たせています。
たいへん面白かったです。
死刑囚が思い出した「記憶の断片」「階段の記憶」を無罪の証拠とするために、
弁護士が取り次いだ篤志家の意向を受けて刑務官の南郷と仮釈放中の青年純一が
調査をはじめます。
すると、その事件にはやはり、別の犯人がいる可能性がでてきて…。
死刑囚が判決を受けるにいたった事件のほか、刑務官南郷の今までの職務内容や純一の起こした事件など、たくさんの事柄が語られていてとても興味深い筋立てになっています。
そのうえ、それらが後に伏線だったことに気がつかされ、何度も驚かされます。
とても重いテーマを扱っているのに文が巧みでスラスラと先に読んでいけます。
登場人物が魅力的で、感情移入がしやすくその心理描写が丁寧に描かれているうえ、推理小説としての謎解きも申し分なく描かれています。
一気に読めて、とても読み応えのある小説。
私が今年読んだ小説のなかで一番に面白かった本です。