斉藤武市監督による渡り鳥シリーズ最後の作品となる第8作の「渡り鳥北へ帰る」は1962年1月に公開されました。 この映画では再び函館が舞台となりますが、函館観光協会と北日本航空の協賛により、雪に覆われた雄大な冬の駒ヶ岳と大沼、函館山か らの華麗な夜景や懐かしい昭和36年当時の函館駅、ボンネットバス、トヨペットクラウンのタクシー、清酒「千歳鶴」の菰樽等が見られます。
また、映画内では函館空港に駐機する北日本航空の双発プロペラ機コンベア240が登場しますが、圧巻は映画ラストで発進で走り出すコン ベア機尾翼の真下で行われる格闘シーンでしょう。 このような映像が撮れたのも北日本航空の協力があってのことですが、航空機マニアにとっては堪らない映像でしょう。
1953年に北海道の有志により設立され、ダグラスDC-3とコンベア240を有する北日本航空でしたが、残念ながら1964年に日東航空、富士 航空と合併して日本国内航空となりましたが、その後、日本エアシステムを経て日本航空に吸収され現在は存在していません。
麻薬中毒患者の親友岡田浩一(青山恭二)が東京で殺され、その遺骨を持って函館に着いた渡り鳥滝伸次(小林旭)ですが、浩一の親族 を訪ね歩いて行き着いた岡田造船所では、浩一の父治五郎(佐々木孝丸)、娘由美(浅丘ルリ子)、浩一の妻幸江(小園蓉子)とボスの黒川 (内田良平)、麻薬の黒幕(漢栄昌)、ハジキの政(近藤宏)との抗争が待っています。
この第8作ではお馴染みの宍戸錠や藤村有弘は登場しませんが、立野麻薬取締官として登場する郷英治の鮮やかなアクションが見物と なっています。立野が所持する拳銃は日活お得意のColt32Auto(Colt M1903)ではなく日活としては珍しいColt M1911モドキが登場します。
また、旭が歌う「北帰行」「ダンチョネ節」「さすらい」「ギターを持った渡り鳥」、こまどり姉妹の「ソーラン渡り鳥」、キャバレーの歌手として登場 する水上早苗の「酒場のこぼれ花」が聴きもので、駒ケ岳の雪原を走る馬橇の場面では田代みどりの歌う「トロイカ」が流れてきます。
この映画を視ていくと面白いことに気付きます。滝が函館に着いた時は街中がクリスマスイブで賑わっています。その後、借金の取り立ての 場面では「1週間後の20日までに払え」と言っており、さらに、幸江が病死して埋葬された十字架には「11月27日永眠」と書かれていて時間 の流れに整合性が全くないことです。
最盛期の青函連絡船では「十和田丸」「摩周丸」「八甲田丸」「羊諦丸」「津軽丸」等で賑わっていました。映画ラストでは今では見られない 「十和田丸」の雄姿が登場しますが、懐かしさも一入といったところです。
前作「俳句という遊び」の続編で 小生は 本編の方が前作より少し好きである。句会の楽しさもさながらであるが メンバー強化の結果、句の内容が更にグレードアップされていると思う。この本を読んでいると まことに日本語の持つ美しさ、玄妙さを強く感じ、日本人として感嘆に耐えない。17字という狭い空間に 宇宙を盛り込まなくはいけないという究極の制限こそが 本当に豊かな表現を作りだしている点に誇りを覚える。昨近の「汚い」日本語に辟易している小生として 万人必読とすら言いたい。
本書でとりあげられている句のほとんどは、発表当時に話題になった句ばかりだそうです。 つまり、俳句好きにはよく知られている有名句ばかりを俎上にのせているわけです。 筆者はその理由をいろいろと語っていますが、俳句中級者にとっては有名句のどこがスゴいので有名句足りえているのかを知る良い機会になると思います。 筆者は句について作者についてできるだけ短い言葉でとらえようとしています。たとえば、高浜虚子を「天才的な素人」、金子兜太を「絶対真似できない句作り」、飯田龍太を「回転し続け、信じがたいほど遠くまで行った俳人」と評しています。こういうキャッチーな一言も面白みがあって良いです。
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