PS3北米版でクリア済み。トロフィーコンプリートし既に何周もしています。
マーヴェルで異彩を放つアンチヒーローdeadpool が主役となった初のゲーム。
大作が次々と発表される中、かなりこじんまりとしたデビューを果たした本作。
結論からいうと、3Dアクションとしては水準以上の出来です。
開発元は海外の実力派デベロッパーhighmoon studio。
国内ではマイナーですが、
トランスフォーマーのキャラゲーが高い完成度だったことで話題になったスタジオ。
今回の作品もクオリティの高いキャラゲーとなっています。
キャラゲーにネガティヴなイメージをもつのは確かですが、本作はアクションにも力が入っている。
刀や釵(サイ)、大槌などの近接武器に、遠距離武器の銃や爆弾などの投擲武器といった、多彩な装備を使って戦闘メインで進行していきます。
キャラクターについては非常に有名で探せばわかると思うので割愛しますが、特徴はあますことなく再現されています。
プレイヤーに話しかけたり、画面を叩いてみたり、オブジェクトにダメだししたりとメタフィクションが存分につめこまれており、
リアクションを見ているだけでも可笑しい。
アメコミに詳しくなくとも一目で印象に残るような主人公です。
ゲームは一章30〜50分くらいからなる全8チャプターで構成されており、クリアした章は自由にセレクトしてプレイできます。
ゲームの進行はリニアで、オープンフィールドのような自由度はありませんが、アクションの自由度はかなり幅があります。
基本のシステムは既存の作品でいうと、バットマンアーカムアサイラムにとてもよく似ています。
フリーフローといって、近くの敵と自分の立ち位置から大雑把に距離や狙いを定めてくれます。
攻撃を空振りしていても自然に距離を詰めてくれたりするため、
最初はボタンを連打しているだけでも次々と敵を捌いていく爽快感が味わえるはず。
といってもボタン連打だけでクリアできるヌルゲーではなく、弱、強攻撃を組み合わせて複雑なコンボを狙ったり、
それを使わなければ苦戦する敵もいて、使いどころがちゃんとあります。
これに加え、カウンターとテレポートも活用することになります。
カウンターは、敵の頭上に攻撃動作の予兆アイコンが表示され、同じボタンを押すと敵の行動を潰して反撃できます。
テレポートは瞬間移動で短い距離を移動できるスキルです。姿が消える無敵回避みたいなものと思ってもらえるといいです。
演出面については敵の体は攻撃を受ければ傷つき、物理演算で吹っ飛び、流血や欠損もするなどゴア表現満載です。
これは主人公にもいえることで、リアルタイムで受けたダメージが反映されます。
しかしながら陰鬱な雰囲気はなく、バイオレンスではあってもグロテスクとは不思議と思わない感じでした。
むしろそれが爽快感に繋がっている。
敵はほどよい多さで沸くため、戦闘のモチベーションが上がり面倒とはあまり思いませんでした。
接近戦はスラッシュアクションですが、遠距離戦はTPSのシステムを採用しています。カバータイプのゲームデザインではなく、
自己再生能力と瞬間移動を活かしてガンガンヘッドショットキメて、避けて、当たって、再生して、適度にゴリ押す悪く言えば大味な作り。
制作者曰く「ネバーデッド」を参考にしたとのことで、チラホラ似てるところはありますが、オリジナリティはシッカリあります。
二兆拳銃で交互に射撃するスタイルになるのですが、照準を動かすと体勢はそのままに、腕だけ動かして狙ってくれる珍しい仕組みになっています。
多くのTPSのように、エイム時に常に背面視点がキープされないので、自分の後ろが死角になることが少ないです。視覚的にも面白いですよ。
もちろんズーム機能もあるので、従来通りのエイムもできます。ズームは押しなおす度に照準の位置が近い敵をセミオートでロックしてくれます。
狙うのが苦手な人でも大丈夫。ロックの補正もガチガチに強いものではなく、完全に頼りきりにならないのが良いと思いました。
その他細かい部分としては、右スティック押し込みで、左右どちら寄りで視界をとるか視点切り替えができ新設設計です。
敵の位置によっては切り替えると狙いやすくなります。
そして、このゲームはデッドプールのどうしようもないハチャメチャなノリだけではなく、銃を使った新しい戦闘システムも売り。
通常はTPSとバットマンライクなスラッシュアクションを使い分けるのですが、銃で近接戦闘ができるのです。
映画やアニメに多大な影響を与えた「リベリオン」にも登場した革命的アクション「ガン=カタ」です。
近接攻撃の直後にトリガーボタンを入力すると通常射撃とは異なり、セミオートで近場の敵をなぎ倒してくれる華麗な銃技が発動!!
ハンドガン、マシンガン、ショットガンなどそれぞれに専用のモーションと効果があり、非常にカッコイイです。
カウンター、テイクダウン(いわゆる処刑)なども可能でその種類はかなり豊富。
今までのアクションゲームでみてきた銃の使い方とは全く違う独創的な技が揃っています。
逆立ち姿勢や、
曲芸撃ち、相手を目視しないで背面撃ち、乱回転しながらなども可能です。
このガン=カタが、近接(スラッシュアクション)と遠距離(TPS)の異なる既存のシステムを繋げる橋渡しになっているわけです。
銃はTPS、剣はスラッシュアクションと、ジャンルが棲み分けされているゲームが多く、その両方を盛り込んだ
タイトルもいくつかありますが、
このゲームはシステムが完全に独立することなく、本当の意味で銃と剣の融合といえる出来になっています。
TPS、ガン=カタ、スラッシュアクションの三要素が相互作用でどこからでも自由に、滑らかに繋がるのは他の作品にはない魅力。
慣れ次第でマニアックなコンボも捗ります。
ハック&スラッシュらしいアップグレード要素もあり、敵にコンボを高ヒット数まで積んで倒したり、
マップに配置されたものを取得して強化すればさらに能力が拡張。
身体能力、ガジェット、武器に大きく項目が別れていて、各カテゴリーごとにかなり豊富にスキルが用意されているので、
高いコンボカウントを維持して倒すのが重要になります。
さらに、この手のゲームで華といえる必殺技も遠近各武器毎に複数存在します。
主人公は再生能力があるものの、原作と違い不死身ではないので、敵に囲まれて危険な状況になることもあります。
そういった場面で広範囲に大きな効果を及ぼすことができ、ただなんとなく実装というよりは、非常に頼りになる役割を担ってます。
全てdeadpoolがハイテンションにキメてくれます!!(イベント、プレイ問わずセリフもかなり多く、サブカルネタ、様々なくだらない話し、ジョークが楽しめます)
また、申し訳程度に
ステルス要素もあります。(こんな目立つヤツが
ステルスします)
巡回ルートを把握して敵の背後から気付かれないよう接近し、サックリと暗殺。こちらも武器ごとに様々なヤリ方があります。
主に近接はニンジャのように静かに仕留める用。遠距離はド派手に音を立ててバレるの覚悟で暗殺。(それって暗殺の意味
アリ!?)
どちらを使うかは自由で、慣れてくれば、罠や爆弾で暗殺も可能。地の利を活かした戦い方ができるようにレベルデザインがシッカリ組まれてます。
ロケーションも比較的多く、アパート、下
水道、孤島、刑務所、廃屋、洞窟、大聖堂等々。敵の種類も雰囲気に合わせてバリエーション豊かに変わっていきます。
前半はヌルいと思っても中盤から歯ごたえが出始め、終盤はかなり難しくなる難易度のカーブになっています。
特に最高難易度はアサルトライフルもった雑魚に囲まれたら即死亡といっても過言ではないほど。ホントにちょっとカスっただけで致命傷ですw。
腕に自信のある方にもオススメ。
やりこみ要素としてはチャレンジマップがいくつかあり、簡単なものから難しい物まで揃っています。クリアするとちょっとした特典もアンロック。
原作ファンなら特に嬉しいオマケになってます。
長く書きましたが、総じて良作といえるレベル。移動や攻撃のアクションのさわり心地が良く取っつきやすいので、ツイ奥の浅い大味なアクションに見られがちですが、実は様々なテクニックを行使出来る余地が多くあり、工夫次第で「こんなこともできるのか!」と思うような動きも可能です。
もちろんそれらを使わなくてもクリアは可能ですが、作り込まれたアクションで如何に格好良く立ち回るかを主眼に置いてプレイするとより楽しめると思います。
タイトルにもあるように既存のゲームに似てる要素が多いです。
例:バットマン、
ガングレイヴ、ベヨネッタ、ネバーデッド、シノビなど。
この用に既視感を感じるシステムが入っているのにもかかわらず、既存要素同士が綺麗に混じり合って隠し味にガン=カタが入ることで、意外な程新鮮にプレイできます。特に3Dアクションを数多くやってきた方ほどそういう細かいところやさわり心地に気がつくはず。
キャラゲーですがアクションシューターとしてみても全然イケてますよ!!
個人的に難点としては、ボリュームが少し食い足りない感じがするのと、ボス戦が極端に少ないこと。これさえクリアできてればより熱いアクションが楽しめたとおもってます。シンプルで出来の良いアクションが好きな方はぜひ。