以前、文庫版で読んだ「すらすら読める方丈記」がとても素晴らしかったので、この徒然草の文庫化も心待ちにしていました。
徒然草といえば吉田兼好だけれども中身はよく知らないという方は私も含めて多いと思いますが、そういう方にはぴったりの内容だと思います。
吉田兼好の人生観、美意識などが綴られた徒然草を、中野氏が現代訳にして解説してくれるのですが、これが非常にわかりやすく、兼好の思いが心にすっと入っていく感じがします。中野氏いわくこれぞ言葉の中の言葉というものが徒然草には幾つも含まれていて、
ローマの哲学者セネカの言葉と共通する点もあるところも指摘しています。
世間のしがらみを捨て、矢のように過ぎてしまう人生を有意義に過ごすという吉田兼好の生き方に、羨望の念を持たざるを得ません。