ちょっと前の舞城節みたいなものを満喫した。舞城くんはこうでなくっちゃ。それぞれやっぱりなんとも非現実的な事柄があり、それのもっともたるものは「イキルキス」の中学のクラスの女の子六人が次々に死んでいってしまうというものなのだが、そういった悲惨な事件なり事故なり 犯罪なりが起こり、それを介して主人公たちが成長と内省を繰り返していくというパターンはある意味王道だ。それぞれがセックスや暴力や不幸や災いに満ちていたとしても、それに立ち向かう青春の光や家族の愛や人を思いやる気持ちなんかが等価に描かれるので、読んでいてまことにあっぱれな気持ちになってくる。あの手この手で描かれる物語は、ある意味めちゃくちゃな文法で自由奔放きわまりないのだが、それが一定のリズムを刻むから、読み手としては暴走ともとれる仮想のドライブ感にのせられて、あれよあれよとページを繰ることになる。とにかく、汚くて辛くていいことなんかまったくない人生だとしても一生懸命正しくまっすぐに自分を信じて、人を愛して生きていかなきゃいけないなと素朴に感じさせてくれたりするからやっぱりすごく素敵なのだ。これからも彼の本はずっと読んでいきたい。
スピード感、グルーブ感にあふれ、「文圧」と評されるのもうなずけます。
チープなのかゴージャスなのか良くわからないトリック、常軌を逸した感情の
爆発、ジャンクな言葉の選択、唐突な展開、とにかく未体験の感覚を味わえる
ことは間違いありませんが、是か非かはまた別問題です。
戸梶圭太に近いノリはありますがアクは強め。
楽しめましたが、私はちょっと疲れてしまいました。
舞城氏はこの阿修羅ガールで三島由紀夫賞を受賞したそうだが、三島由紀夫が何だってんだ。と言いたくなるような展開にクラクラする。
いきなり女子高生が酔っ払ってラブホでやってるし、蹴り入れて帰ってきたら、翌日には相手が死んでる。でも何で死んだかとか、全く関係なく全国の連続殺人の話やら、2ちゃんっぽい掲示板での罵り合いスレが2ページ続くわ、死後の世界に行ってしまうわ。そして出てくる人間にほとんどマトモなのがいなくて、誰も彼もが心理的な闇の部分を丸出しにして、それでも人間が救いを求めたり求めに応じる人間がいたりする。気色悪いけど読んでしまう。
死後の世界に占い師の力を借りて助けに来た男に、勇気を出してコクってたのに「友達じゃだめか」と言われて自殺するシーンは笑わずにいられない。
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