一人の貧しい少年ネロと、愛
犬パトラッシュとの美しい友情の物語。
最終的には、アントワ−プ(ベルギ−)のノ−トルダム寺院で、
二人とも凍死するという悲しいスト−リ−。
「二人」と表現されるほど、少年と
犬とは強い絆で結ばれていたといえる。
訳者あとがきには、
「いまの世の中でならめったに起こらないような、
そしてまた、ぜったいに起こってはならないような悲しい物語」とある。
書かれたのは今から百数十年も前、1872(明治5)年。
日本では、ちょうど「学問のすすめ」(
福沢諭吉)が書かれた時代である。
この物語について、故司馬遼太郎さんが「街道をゆく〜オランダ紀行」のなかでとりあげ、
「19世紀の児童文学の大きな収穫」だと評しつつ、素朴な疑問を投げかけておられる。
日本人ならだれでも知っている物語だが、どうしてヨ−ロッパでは知られていないのか?
この司馬さんの疑問に、ある方が絶妙な答えを用意されている。
その答えとは・・・
社会意識の変化の中で、児童文学の受け止め方にも影響が出てくる、
そんな児童文学の妙というか、そのおもしろさ、奥深さをあらためて教えてくれる一冊である。
世界名作劇場のアニメ時代でも見ていましたが、劇場版も最高です。絵がちょっと変わりましたが、とてもうまくストーリーラインを作っていて、おさえるべきところはおさせて、もちろんハンカチが無くては見られないです。一箇所ではなく、数箇所で必ず涙が出てきます… やはり
犬好きでもそうではない人でも、一度は見て欲しい素晴らしいストーリーです。
小学生のころに読んだ記憶が蘇ってきました。悲しい結末となりますが、町の人たちの胸の中に、少年と愛
犬への想いが末永く残ることによって気持が救われます。日本語とはいえ、古めかしい表現が中世のヨーロッパの雰囲気をかもし出しています。