明治から昭和20年代にかけてクラフト・エヴィング商會という販売業者が日本にありました。この商會が扱っていた商品は次のような奇妙極まりないものばかりです。
・地球の重力の強弱を測る「硝子蝙蝠」(
神戸銀醒傳信社製)。
・闇夜を照らすのではなく日中のまぶしさを紛らすために闇を生み出す「アストロ燈」(東洋電氣株式會社製)。
・かつてその場にあった建物の在りし日の姿を浮かび上がらせてくれる「時間幻燈機」(舶来通信株式會社製)。
残念ながらこうした物品のほとんどはことごとく散逸し、平成の世に伝わるものは全くありません。ですが扱っていた品々のパッケージや取扱説明書などはかろうじて残っています。本書は各商品の名残を留めるそうしたトリセツなどを掲載し、往時をしのぼうという写真集です。
とはいうものの、この「どこかにいってしまったものたち」はもちろん架空の物品を扱っていて、そもそもどこにも存在しなかったものなのです。二人の女性アーティストがある方法を使って拵えたものです。
使用した古風な文字群は、懐かしい日本の空気を今に伝えるものです。古臭い、という否定的な思いを抱くことはなく、どことなく惜しまれる気持ちが心にわきたちます。
私が生まれる前に亡くなっていた父方の祖父は、遺品として数多くのSPレコードを残していました。大きさはLPレコードと同じですが、78回転機能をもったレコード・プレイヤーでなければ聞けないという代物です。
今はどこかにいってしまいましたが、小学校低学年の頃にこれらSPレコードを見つめた記憶があります。円盤中央部やくすんだ色の包み袋に書かれた文字が、普段みかけるものとは大きく異なり、祖父の生きた時代の空気が刻み込まれているような気がしていくら眺めていても飽きなかったことを良く覚えています。
そんな思い出を蘇らせてくれる一冊でした。
1996年公開、アメリカのオカルト スリラー映画。
本国では、スマッシュヒットを記録している。
監督は「スリーサム」「K・ダンストの大統領に気をつけろ!」の
アンドリュー・フレミング。
霊感の強い4人の女子高生グループが古書を読み解いて魔術を操り、
個々の悩みを解消していくが、やがて魔力に取り憑かれ暴走する
というプロットは、其れなりに意外性があり面白い。
魔女4人の個性分けもキッチリされており、純情派の可愛い系、
影のある大人しい系、陽気なお喋り系、喧嘩っ早い勝ち気系……と、
一人はタイプを見付けられそうなナイスチョイス。
特に本作でブレイクした、ネーブ・キャンベルの地味系から
セクシー系への変身ぶりと、個性派女優 ファイルザ・バルクの
ゴスロリ ファッション & “取り扱い注意印” を張りたくなる怪演は、
見所になっている。
ただ、ハイティーン学園ドラマ宛らの恋愛、苛め、家庭問題、
外見へのコンプレックスに悩む4人が、視覚的に派手な魔術を
披露して暴れるホラー寄りの殺戮シーンや、魔力の呪いがもたらす
奇怪なオカルト描写に乏しく、最終的にやや物足りなさが残る。
折角、個性豊かな美少女を揃えているのだから、個々の能力にも
属性などの特殊効果を設定して差別化を計り、もう少し、
娯楽性を高めたショッキングな
魔女バトルを際立たせて欲しかった、
というのが正直なところ。
ともあれ、チープなクリーチャーのチラ見せを多用せず、
ダークな雰囲気と4人を取り巻く環境を丁寧に描いている点は、
好感が持てる。
注:ホラー的な描写は、ごく控えめ。
学園ミステリー系スリラーといったイメージで、ご鑑賞を。
画質に関して………所々、輪郭のブレが気になるが、この年代の
フィルムにしては観易い印象。
【音声】
英語 ドルビーデジタル 5.1ch サラウンド
ドルビーデジタル サラウンド
日本語 ドルビーデジタル ステレオ
【字幕】 日本語のみ