コーザ・ノストラ [DVD]
1970年代初頭「ゴッドファーザー」「バラキ」など"マフィア"映画全盛ブームの頃、本家本元"生粋のイタリア人"監督、それも社会派作品で名を上げたフランチェスコ・ロージが描く、マフィア史上最大の大物"ラッキー・ルチアーノ"実録映画が公開…とくれば、これを期待しない方がおかしいっ!というもの、高校生ながら勇躍映画館に向かった覚えがあります。
マフィア同士の派手な"ドンパチ抗争"映画を観に行ったつもりだったのに、スクリーンに映し出されたそれは全くの予想外の代物… 「何だこれっ? まさしく"実録"の謳い文句のまんま…」ドキュメント・タッチの全編ロケ、ロング・ショット多用の地味ぃな映像設計がなされ、内容的には1931年「マッセリア暗殺」を皮切りに「シチリアの晩鐘」事件、検事(後のニューヨーク州知事)デューイとの対決、禁固50年の収監も僅か9年での出獄、イタリアへの追放、パレルモでの"ボス・サミット"、ナポリ空港での突然死まで主要なエピソードはきちんと抑えてあるのに、徹底して作為を排除した演出方法が災いしてか最初っから最後まで全然盛り上がらずにおしまい! 上映時間は110分しかないのに、やたらと長ぁく(…体感では3時間位だったような)退屈した時間が過ぎていった記憶があります…
35年以上たって久々に観なおしたのですが印象は当時と全く同じで"ただただ退屈"… あえて無色透明、自然な演技を貫いたジャン・マリア・ボロンテはぎりぎり努力賞ものでしたが、芸達者ロッド・スタイガーは、何故こんな役で出演してたんでしょうかね? "何もせぬまま"ニューヨークの路上でさっさと射殺されちゃって出番終了、勿体無ぁい!
名手パスクァリーノ・デ・サンティスの撮影も、ドキュメント・タッチ狙いでわざと低感度発色の粗い粒子画像にしてあるのか、リマスターされてないDVD画質がお粗末なのか、クリアさを欠いた出来でがっかり…