私たちは大森で働きます!!@工場閉鎖撤回闘争
2012年3月17日東京・大田区にあるクリーニング工場デイベンロイリネンサプライ㈱は、正当な理由もなく工場を閉鎖し、そこで働く労働者に希望退職を通知。労働者は工場閉鎖撤回を要求、生活を守るため完全と闘った。 (三塚日出男)
本書読了後になにより衝撃的であったことは現在のマスコミの問題の大半が終戦直後に既に形成されていた、もしくはGHQにより作られていたと言うことである。
個人的には現在のマスコミの大きな問題は自己規制にあると考えている。その源泉のひとつがGHQの検閲制度にあったことは新たな発見であった。勿論、それ以前に軍部による検閲があったことも事実である。しかし言論の自由を保障するはずのアメリカ(その建前があるからこそ検閲制度の存在は秘匿された)は新たな言語空間を新生日本に築くこともできたはずである。
日本を二度と軍事国家として再生させない、そしてアメリカに都合の良い国家に改造するという意志。アメリカという国家の遠大な戦略的視点と実行力には好悪の感は措いても脱帽する。
舞台となるのはイギリスの小さな炭坑町。その町には炭坑で働く労働者達で結成された伝統あるブラスバンドがあったが、炭坑の閉鎖によって収入を失ったバンドのメンバー達は生活に困窮し、ブラスバンドの活動が困難となっていく。そんな中で、ブラスバンドに全てを捧げる指揮者と、新しくこのバンドに入った主人公の女性トランペッターは、何とかこのバンド活動を維持しようと奮闘するがその努力もなかなか実らない。そして何よりもこの主人公にはバンドのメンバー達には決して言えないある秘密があった・・・
大まかに書くと以上のようなストーリーなのですが、この映画には一応主人公的なポジションの女性はいるものの、本当の主人公はこのバンドに参加しているメンバー全員、そしてこのバンドを抱える町全体なのだという気がします。実際、映画最大の見所は、生活に困窮している中で、バンドとそれぞれの暮らしとの狭間で揺れ動いているメンバー達の心の葛藤でしょう。
スケールも決して大きくはないし、大ヒットしたというタイプの映画でもないのですが、その質の高さは良質の佳作といえるでしょう。