櫻の園 [VHS]
高校の演劇部の一日を少女たちの目線で描いた作品。男性監督が撮影したとは想えない彼女たちの息づかいに心揺さぶられると同時に、忘れ去られた憧憬をも想起させられます。また作品の構成も映画のなかの劇、写真撮影のシーンといった重層性により、日常的な設定でありながらも現実よりもリアルな刹那的な感情が伝わってきます。今高校生の人も、もと高校生の人にも訴えかける、単なる感傷ではない何かがあると想います。
吉祥天女 スペシャル・エディション [DVD]
小夜子の比類無き美しさや強さに憧れを抱く由似子と、そんな彼女の汚れ無き純粋な心が眩しい小夜子。
二人の友情を軸に進展するストーリーは、天女伝説にまつわる小夜子の悲劇というだけでなく、過去の呪縛を解いて幸せを掴もうとする由似子の成長物語にもなっています。
大人びた妖艶な少女・小夜子を鈴木杏さんが、ピュアで明るい少女・由似子を本仮屋ユイカさんがそれぞれ好演しており、クライマックスシーンでは、由似子が小夜子に対して抱く「恋心にも似た情熱」が、痛いほど伝わってきます。
二人の友情に力点を置いた本作品は、ラストシーンにおける由似子の幸せそうな表情がとても印象的で、見終わった後、ほんわかと温かな気持ちになることでしょう。
バナナフィッシュ(1)
吉田秋生の名作中の名作『バナナフィッシュ』のオーディオドラマ版。
だいぶ以前にNHKFM「青春アドベンチャー」で放送していたもので、もう何度も再放送されています。
通常月〜金の1日15分放送で2週間が平均なのですが、これは異例の6週間放送でした。
もちろん原作同様に濃い内容で、麻薬あり、少年売春あり、ドンパチありのハードな展開で、放送用語禁止ギリギリなストーリーを、よくまあNHKさんが取り上げたものだと感心していたものです(苦笑)。
原作から入ると自分が予想した声と違うとか、色々とギャップがあって不満に思う方もいるかもしれませんが、このラジオドラマの脚本はなかなか良い出来だと思います。
原作が大作ですから、どうしても時間の都合上カットしなければならない場面が出てきてしまうのですが、カットの仕方がそれほど不自然でなく、原作の流れを尊重した仕上がりになっています。
演出上、原作にはないオリジナルのセリフも追加されていますが、それがまた悪くないンです。
これなら原作ファンも納得なのではないでしょうか?
確かに主人公アッシュの声が少年にしては大人過ぎるかな、と感じるかもしれませんが、演じていらっしゃる古澤徹さん、とても雰囲気に合っていて、演技も含めて私は気に入っております。
アッシュの親友・エイジをベテラン声優の井上和彦さん、脇を(若かりし)古田新太さんや佐々木蔵之介さんなど今や実力派舞台俳優として有名な方々がかっこよく固めるとゆー配役。
特に佐々木さんの悪役ぶりはスゴい。もうノリノリです。もともと舞台役者ならでは発声をする方なので、オーディオドラマだと映えますね。
CD版はラジオ放送と若干異なるBGMが使われており、また挿入歌(ちょっと切ない……)がついています。
海街diary 1 蝉時雨のやむ頃
おう、オレだロッキーだ。
こいつはまいったぜ。
女の子達の日常の話だってえのに
その描写にどっぷりはまって
ヘビー級の身体のオレが堪えきれずにむせび泣いちまったぜ。
特に最初の話はいいぜ!
オレも言いたいことは上手く言えねえほうだからなぁ。
すずちゃんの気持ちは痛えほどわかるってもんだぜ。
そんなわけで
手に取るのは恥ずかしいかもしれねえが
大の男でも是非読んでみてくれ!
櫻の園【HDリマスター版】 [DVD]
作品は少し時代を感じてしまいますが、やはり名作です。
マニアックなことをいいますと、脇役なんですけど2年生役の少女たちの演技が自然すぎ。
さて、リマスター前のDVDも所有しておりますので、新旧を簡単に比較してみました。
旧DVDでも、デジタル化に際して傷などを修正したということでしたが、HDテレビの大画面で久しぶりに見てみると、やはり傷だらけでした。
この辺を処理しているのだろうと、新DVDを見てみると、
完全ではないものの、大きな傷はほぼ処理されています。ドット状の小さなものはときどきありますが。
解像度は、元データのせいか、DVDのデータ量が少ないからか、新旧 相変わらずな印象。シャープネスは少し上がってしゃきっとしました。
色調がずいぶんきれいになりました。人の肌が明るくきれいになるように調整されています。ただし色調整した分シャドウ部分も明るくなり、ノイズがちょっと目につきます。
旧DVDでは、画面が揺れるようなところがありますが、新DVDでは改善されているような気がします。(これは気のせいかも)
ということでHDリマスターの効果は見てとれます。
とはいえ、そもそも20年前の映画です。過度の期待は禁物です。リマスターの前に「HD」なんてついてると、昨今のHDテレビ並みにきれいになってると誤解しそうですが、そんなことは全くありません。