八雲百怪 (1) (単行本コミックス)
『怪談』の著者として有名な小泉八雲、ラフカディオ・ハーンを中心に描く、民俗学ロマンシリーズ第三弾(らしいです)。
小泉八雲、八雲と偶然旅先で出逢い、弟子を自称する会津八一、内閣法制局松岡参事官の元で私的に働く、眼を包帯で隠した男甲賀三郎。
三人はある村で出会う。その村には、訪れた旅人をもてなす風習があったが・・・という「夏越祓」。
神無月に出歩く、まつろわぬ神々の起こす厄災「妖精名彙」の二話が収録されています。
今までの北神、木島といったシリーズを楽しめた人なら間違いなく楽しめるでしょうが、今までの作品ほど、国家が関わる妖しい陰謀、といったかんじはありません。そもそも、明治期の「国つくりの神話」といったほうが正しいかもしれません。
難点といえば、今までの作品ほど魅力的なヒロインがいないことですかね 笑
キクリさま、あんまりかわいく・・・ないかも 笑
妖魔の哄笑 (春陽文庫―探偵小説傑作選)
もともと昭和6〜7年に『大阪時事新報』に連載された長編推理小説である。
列車のなかでの惨殺事件、4本指の男、女性の屍体を解体するグロテスク趣味、複雑な入れ替わりトリックと読者サービスにあふれた物語だ。舞台も列車内から東京、鎌倉、大阪と次々と展開していき、トラベルミステリーのようでもある。
真相はきわめて複雑。しかし、よくできており、いまでも読む価値のあるトリックと思う。
ただ、主人公のへまや秘密主義、警察側の不手際が多く、読んでいていらいらさせられる箇所が多かったのも事実。最後の謎解きもあまりに詰め込みすぎ。
江川蘭子 (春陽文庫―合作探偵小説)
江戸川乱歩、横溝正史、甲賀三郎、大下宇陀児……
当時の探偵小説の顔とも云える著者陣の中に、更に異彩を放つ夢野久作。
ストーリーは現在から見ると、やや破綻気味ではあるが、これだけの豪華な顔触れの文章の比較が容易に行われるのはこの一冊だろう。
もっとも、久作はカタカナの表記が抑えられていたりはするが。
恐らく、江川蘭子での彼らの文章は江川蘭子でしか読めぬだろう。