カリガリ博士【字幕版】(淀川長治 名作映画ベスト&ベスト) [VHS]
ドイツ表現主義の流れにあって、その映画化として成功している。というよりこの作品は舞台装置に表現主義が見られるからすばらしいわけではなく、不思議な不安感がストーリー全体を貫いており、ドキドキはらはらスリル満点の作品であって、昨今のサスペンスなどとは比べものにならない深い世界を含有している。精神病院を舞台に展開するのも興味深い。
カリガリ博士の子どもたち―恐怖映画の世界
本書はホラー映画の流れと分類を古典から詳しく分析した古典的な名著である。多くの恐怖映画作品が有機的に結びつけられて説明されており説得力がある。安っぽい映画ライターが書いた本も悪くはないが、本書をガイドブックとして古典作品に挑戦してみるのもよいだろう。もちろん新しい作品は紹介されていないが、著者の視点は古びてはいない。
怪人カリガリ博士 [DVD]
「サイコ」の原作者ロバート・ブロック脚本によるサスペンス、ホラー まちにまった国産DVDの登場です。私は、パル方式の輸入盤DVDで観ていましたが、字幕がないと、こういうミステリー調映画は、魅力半減です。今回、字幕付きの国内版が観れるので、今から楽しみです。この映画の見所は、ラストのハッタリのきいたドンデン返しもそうですが、ドイツ表現主義を思わせる回転扉や斜めになったゲート等の凝った美術 、そして劇中挿入されるシュールレアリスティックな場面等、怪奇ムード満載の必見映画です。
今後は、ウィリアム・キャッスルの諸作品 「第三の犯罪」「血だらけの惨劇」等期待したいところです。
カリガリ博士 [VHS]
~あらすじ とある精神病院。患者アランが語り出す物語。カーニバルにやって来た、カリガリ博士が眠り男チェーザーレによる興行を行い好評をえるのだが、博士の真の目的とは。。
もともとは数時間在ったものを劇場向けに67分にカットされたものという。完全版は見ていないが、このカットは絶妙ではないかと思う。
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初めてみる人は背景の書割り(背景画)にも注目してもらいたい。表現主義による背景には、水平な直線がなく必ず傾いていたり曲がっていたりする。その視覚効果が幻想的な世界を構築する。カリガリ博士の手袋も印象的だ。~
ドグラ・マグラの夢―覚醒する夢野久作 (1971年)
本書を読んだのは高校生時代。
当時、三一書房から夢野久作全集が刊行されており、その一冊、確か第四巻が、まるまる一冊「ドグラ・マグラ」だった。
桃源社の「大ロマン復活シリーズ」もそろそろ下火になってきた頃、突如として現れたのが本書だった。
まず、その製本の豪華さと、価格にびっくりした。
そして、わけが分からないながらも、一応一通り本編を読み終えていたものにとって、本編関連の書籍は、必読ものだった。
だから、迷わず購入し、またもわけが分からないままに、本書も読んだ。
本編のほうは、30代の頃にもう一度読んだ。
高校生時代よりは、かなり理解できたと思った。
特に「胎児の夢」と「脳髄論」は、ようやく何を言っているのかが分かった。
「外道祭文」との相性の悪さは相変わらずだったが。
そして、映画版を観たのちに、三度目の読む機会があった。
その度に、本書もぱらぱらと紐解いた。
本書の一部は、学研M文庫の「ドグラマグラ幻戯」に収載されたので、読むことができる。
しかし、本編に対する著者の熱い思いを感じるためには、やはり全編を読む必要がある。
入手し難いようだが、所蔵している図書館もあるようだから、可能であれば、そして「ドグラ・マグラ」に取り憑かれたひとはぜひ、読むことをお勧めしたい。