熊の場所
めちゃ文学的な内容でしたね。
一見、グロかったりふざけて書かれているように見えて、その実これはバリバリの純文学です。
賞をとったのも納得ですね。
熊の場所は、人生を生きていく上で教訓になる名作だったと思います。
恐怖から逃げてしまうと、それはトラウマになり一生苦しまなければならないかもしれない。
トラウマをなくすためには、その恐怖の中心へ自ら向かいなんとかするしかない。
わたしも熊の場所があって、わたしはそこからずっと逃げているので、この作品にはいろいろと思うところがありました。
やはりトラウマを完全になくすためには、恐怖の対象と闘うしかないのでしょうかね。
バット男もよかったです。これは青春純文学ですね。
ピコーン!はミステリー風の佳作ですが、あまりにも卑猥で過激な内容なので読者を選ぶことでしょう。これはもうちょっとイッてしまった設定の主人公が登場してしまいます。主人公は天才的ともいえる名推理を披露するのですが、設定が設定なだけに、わたしはこの主人公に共感したり素直にすごい!と思ったりはできませんでした。
男の居場所 酒と料理の旨い店の話
「酒と料理の旨い店」が紹介してある。
但し、「ここ一番に接待に使いたい」「ふらりと寄りたい」
「この為に予定を捩じ曲げてでも」「薀蓄野郎など寄ってこれない」
「ふらり小旅行の目的地に」「昼下がりにまったりと」
という、色々な意味での「男の」居場所である。
勿論、お酒が呑めない御仁でもしっかり楽しめる所ばかりである。
但し、「大人である」事を体現できる人に行って欲しいが。
しかしながら、酒と肴の描写が独特だなあと思って読んでいると
「思わず股間を押さえたくなるような官能」のくだりを読んで膝を打った。
そう、「エロい」のだ。食べ物呑み物の評論でこの様に官能的に表すのは
今迄お目に掛かった事がない。五感に訴えるだけでなく、人の(特に男の)持つ
「欲」に直接訴える文章は妖しくも著者が恍惚に至る過程をつぶさに記している。
これに比べれば、ミシュランなどは「ここの店主は○○から直接手に入れた…。」
という様にさもありがたい御託がちりばめられているらしいが、
「どうせ一般人は行けないだろうから…」的なテイストが漂う嫌味な本でしかない。
男であれば読むべし。呑むべし。食うべし。語るべし。の一冊である。