俺たちの新・日本列島改造論
お盆で故郷に帰省して、その零落ぶりをさびしく感じた人は多いはず。子供の頃、よく行ったお店が次々と閉じ、商店街はシャッター通りと化し、老人がとぼとぼと歩いているだけ、なんてね。でも、帰省先で手に取ったこの本は、地方の可能性を見せつけてくれた。お笑い芸人とタレントだった二人は、いまや宮崎県知事と年商140億企業の社長。それぞれの分野で成功した二人は、地方に根を張り、一方で華やかな東京のマスコミを渡り歩いている点でも共通しているのだが、だからこそ、地方と東京のズレがリアルな言葉であぶりだされている。二人は日本をどうするか、地方から日本を変えていくことを真剣に実践しているのだ。もちろん行政官・東国原英夫、実業家・田中義剛の奮闘記としても、裏話満載で楽しめた。「農業法人」とか「直轄事業負担金問題」といった用語説明のコラムは、地方の問題を考えるキーワードとして役に立った。故郷に帰って起業してみようかという気になるほど、元気をもらえる一冊である。
田中義剛の半農半芸で何が悪いっ!?
花畑牧場なんて、タレントの力でキャラメル売ってるんだろ!
・・田中義剛さんのことを、そう思ってる人も多いと思います。
実際、私もあまりいいイメージは無かったんですが・・
片手間でお店を出し、商品を売っているわけではないということが、
この本を読めば痛いほどわかります。
めちゃくちゃ努力の人です。頭が下がります。
北海道のこと、芸能界のいろいろな方々との交流、牧場のこと、
今おかしいと思う社会問題についてなど、私たちが知りえなかった
話題と、田中義剛さんを知ることができる、とても面白いエッセイです。
田中義剛の足し算経営革命-北海道発 大ヒットの法則! (ソニー・マガジンズ新書)
タレント本である。
しかし彼にとってのタレント田中義剛は手段であって、本業は花畑牧場の経営者である。
この本全体に貫かれているのは、彼独自の一本筋の通った経営哲学である。
それは、大量生産・大量消費のマスマーケット食品ではなく、地方にある食材の付加価値を高め、安心と安全な食品を提供していくことを、どのようにすれば持続的なビジネスとして成り立たせる事が出来るかと言う課題に対する考え方である。
過疎対策や地方の活性化を考えている人には読んで貰いたい経営書である。
一方、花畑牧場のブランディングに田中義剛の名前は一切出さないとか、実際に商品自体はその通りであるが、これだけテレビ、雑誌、新聞等のマスメディアに取り上げられたらもう誰でも知っていることである。その意味では、タレント田中義剛が広告塔になっている宣伝効果は計り知れず、誰でもがビジネスを成功(黒字転換)出来る訳ではない。
私がここにこういうレビューを書いていること自体、彼の術中にはまった証拠である。しかし生キャラメルやカチョカヴァロを買いに北海道に行くことだけは無いようにしたいと、今は自重している。
蛇足であるが、文体は1人称「俺」の話し言葉風である。経営書としては好みの分かれるところである。