少年メリケンサック デラックス・エディション [DVD]
本作の楽しさは「映画」的面白さが満載なことだろう。特典ディスクで佐藤浩市が「これはTVでのOAは難しいだろうなあ」と言っていたが、ホントに自主規制で一杯の民放では放映できないセリフだらけだ。少年メリケンサックの映像を見つけたクビ寸前のレコード会社・新人発掘部のOL・かんなが気に入り、担当してみたら、その映像は四半世紀前のもので、メンバーみなおっさんばかり、というこの設定だけですでに可笑しいではないか。おっさん4人組の奮闘も楽しいが、とにかくかんな役の宮崎あおいのハジケっぷりが凄い!「篤姫」と同時並行の撮影だったそうだが、両極の役柄をこうも楽しそうに演じるとはびっくりだった。特に酔いつぶれて床に寝る姿や、ユースケ演じるレコード会社社長に胸を触られたり、おっさん4人組に振り回されてあたふたする姿とか、全編にわたって「初・宮崎あおい」が堪能できる。第一級の女優になってからでも、このレベルで壊れてくれるのなら、この先も大丈夫だろう(笑)。蒼井優も「亀は意外と速く泳ぐ」での壊れぶりに感心したものだが、やっぱりこのふたりは凄い!とにかく楽しい作品なので、お見逃しなきよう。特典ディスクも楽しさ全開です。なお、ブルーレイの画質は必要ない映画なので、検討中の方もこちらをお勧めします。
ツレがうつになりまして。 プレミアム・エディション [DVD]
「ツレがウツになりまして」(佐々部清監督)は、漫画家・細川貂々のコミックエッセイを映画化したものです。
近頃、女性漫画家の私生活を描いた漫画風のエッセイが映画化され、
それがまた時代を映す心温まるドラマとなっています。そして、
それが同時に漫画家のサクセス・ストーリとなっている映画が頻繁に登場しています。
『毎日かあさん』なんかは知られた所ですよね。
漫画家が私生活を観察し、表現するのが巧みであるということが一つ言えます。
劇画のキャラクターやストーリを製作する仕事が、自分そのものを客観的に観察するし、
身近な自分を笑を誘い出す姿に作画する特別な才能を磨いたんだと。
ルーチンな日常生活を劇画化し、脚色化する才能に繋がっているとも一つ言えます。
私には、何かしら特徴的な社会現象に思えます。
しかしながら、「うつ」を理解するのは欠かせない映画とも思いました。
また、これまで映画の中で犯罪にかかわりのある、かなりシリアルな役柄が多かった堺雅人が、
三枚目のコミカルな演技を見せている映画なのでめずらしく思いました。
少年メリケンサック [Blu-ray]
パンクって何だろうね? 宮崎あおいが好きになった作品でもあります。本当に演技がうまいなぁと思いました。 パンクってなんだろね? 本作品を見終わる頃にはきっとパンクが好きになっていることでしょう。 クズにはクズの生き方がある。 クズにしかできないことがある。 クズにしか語れない真実がある。 コピーロボットのように統制された社会に何の魅力がある? 本当に大切なものは何か、それを教えてくれる作品がこれだ! 愛してるぜクソ野郎どもに送る魂の歌がここにある! お勧めだ!
ツレがうつになりまして。 スタンダード・エディション [DVD]
「うつは心の風邪」という台詞が出てきますが、確かに周りを見渡しても、風邪と同じ位うつの人がいる。今、都会で暮らしている社会人で、職場や私生活に全くうつの知人・友人がいないという人はまずいないのではないだろうか。
本作の主人公夫婦は好対照だ。子供はまだおらず、物言わぬイグアナをペットに、妻ハルさんの趣味であるちょっと古いガラス瓶や、細々した“面白そうな物”に囲まれて暮らしている。ハルさんは良い意味でちょっとアバウト。凝り性で、感情を隠さず、直感的な生き方をする女性だ。対して、夫の“ツレ”こと幹夫は、ハルさんが爆睡している早朝から、毎日会社に持ってゆく弁当を調理し、毎日種類を変える付け合わせのチーズを、曜日ごとに小分けしているほどキッチリした性格。仕事は外資系ソフトウェア企業の実質的なクレーム担当で、おまけに職場は相次ぐリストラで一人一人の仕事量が激増している状況である。まさに、うつになるべくしてなった、人と環境と言えるかも。
うつ病となったツレは、働く事が出来なくなり、亀の様に布団に篭って泣き暮らし、遂には自殺願望に取り憑かれるほどに追い詰めれれてしまう...。
そんな時に彼を救うのは、愛妻ハルさんの存在だ。ツレの心を思いやりながらも、ポジティブな未来を信じるハルさんは、心が暗いトンネルに迷い込んでしまったツレにとって、出口へと導いてくれる灯りの様な存在だったのかもしれない。
うつ病というシリアスな題材を、壮絶な闘病記にはせず、ある夫婦が困難を乗り越えていく絆の物語にしたのは、人間の善の側面を見つめてきた佐々部清監督らしい演出だ。もちろん、大河ドラマ「篤姫」でも夫婦役を演じた主演の二人の相性の良さもあり、ハートウォーミングな物語になっています。
上映時間の殆ど、二人が殆ど出突っ張りの状況が続くが、佐々部清監督は病からの回復に必要な長い時間を季節感たっぷりに描き、一本調子に陥る事を防いでいます。ハルさんのマンガが飛び出したり、ビジュアルの遊び心も良い。また、二人の暮らす昭和を感じさせるレトロな平屋は、手作りのイグアナ小屋や可愛い小物が並び、良い意味で生活感が溢れていました。
少年メリケンサック スタンダード・エディション[DVD]
「NO FUTURE」と世間にツバした若者が将来どうなるのか、なれの果てのあわれな中年が担がれながらも再起をかけるドラマです。
木村祐一がいいセリフを言っていた、「バンドには良い時と悪い時がある、良い時のバンドは怪獣の様に好き勝手に暴れまわれる、しかし所詮は人間の寄せ集めで、金儲けしたい奴,女にもてたい奴,前に進みたい奴,その場に留まりたい奴,その内身動きとれなくなって怪獣は腐ってしまって
バンドは解散する。解散して初めて気づく自分の無力さ、一人では何も出来ない事」バンドをやっているとどうしてもぶつかる壁がこのセリフにあらわされている、バンドはエゴとエゴのぶつかり合いで、危ういバランスの中でなりたっている緊迫感見たいなのが伝わるからこそ、聞き手にリアルな音として伝わるのである。
「ニューヨークマラソン」が最後のほうで意味がわかります、詳しくはネタばれになるので言えないが、ギターとベースの兄弟の父親が寝たきりの原因になったのがこの歌に歌われている通りになったと推測できるのだが、クドカンが狙いで書いたのかわかりませんが、因果応報と言う事言いたいのでしょうか。
80年代パンクファンには、二ヤリとさせられる配役が出ている。田口トモロヲ(ばちかぶり),遠藤みちろう(スターリン),
花屋役HIKAGE(スタークラブ),ガサ入れ警官役(アナーキー),クドカン自身もファンと言う事あってパンク愛に満ち溢れています。
メリケンサックのライブ曲が一曲なのでやや中だるみ感があるが、最初は宮崎あおい見たさに見るかもしれませんが、それだけじゃない事、評価も低い様ですがちゃんと見ればよくできてると思います。
後、これはピストルズへ捧げられた映画です。表題曲や悪徳マネージャーによって作られたバンドと似ている所があり、クドカンなりの回答と言った所でしょうか。