ありがとう
25年前、KBS京都ラジオ「ハイヤングkyoto」の木曜日を担当していた宇佐元さん。その知性あふれるトークと、澄んだピアノの弾き語りに当時中学生だった私はすっかり魅了されていました。あれから時は過ぎ、ネットのおかげでまたあの歌声に再会することができました。かつてラジオからカセットに録音したり、LPレコードで聴いていた懐かしい曲を含む全13曲の中には、世知辛い現代に生きる私たちを癒してくれるメロディが詰まっています。ありがとうと素直に言えない誰かのことを想いながら、卒業式の日のことを思い出しながら、或いはあなたの結婚式の日のことを思いながら聴いてみてください。きっと涙できますョ。
STAY HERE(+2)
彼のCDは、どれも曲や歌詞が前向きで聞いている人に確実にメッセージを伝えているから大好き!「明日からがんばろう~!」っていう勇気と元気がもらえます。中でもこのCDは究極の作品。彼が作詞の「明日は解らぬ僕ですから」と作曲の「ロマノ」に注目です。
2nd
CHAGEのソロアルバム。非常に充実しています。
1の音響系のあと、先ず名曲2「トウキョータワー」の歌い方がとても素敵です。ビブラートが抑えられニュートラルでまっすぐすーっと伸びてゆくこえ。何か落ち着いた心境がそのカナリア声に感じられ、坦々と情景描写を映したときのワンカットが非常に切なくなるのです。ヴォーカリストとして成熟した季節にあることを窺えます。
一方作品は楽曲・サウンドデザインが凄くいい。POPS味を失わずしかし彼らしいソリッドなロックで彩られています。ミディアムな心地よさから烈しい高揚まで携えた楽曲たち。思わずナニこの一曲一曲の珠玉さは、このメロディメーカーぶりは!と驚いてしまいました。顧みればこの頃の『no doubt』や『NOT AT ALL』のC&A作品では、彼の楽曲のクールさが作品をボトムアップさせていたことも思い出させます。どうやらこの頃のCHAGEはクリエイターとしてもひとつの充実期を迎えていたのかもしれません。とにかく、一曲たりとも隙がなくずっとカッコイイ、凝ったサウンドのプロデュースが展開されてゆくのです。
今作でも聴き所の4「〔7〕」でロックをかき鳴らした後、5「TRANCE⇔ENTRANCE」のサイケデリックさは彼の真骨頂である、濡れた囁き声のミステリアス楽曲。こういう面白さが彼特有の聴き所だと思います。続く6「UNDO」なんかもボーイ・ジョージばりの妖艶なロック。こういうアヤシイ声とアヤシイ曲調が織り成す、マーベリング画法のような世界をみせられる感覚は他では中々見当たらないです。もっとこの才能をアングラカルチャーに放り込んでみたいものです。
他方7「MR.LIVERPOOL」のようにシンプルで気持ちのいい憧憬のポップスや、フォーク時代のような哀愁を詞の行間と旋律に潜ませた9「12色のクレヨン」も持ち合わせます。どちらもいい曲で淡い情景がとても美しいですよ。
10の清々しいミディアムサウンドは主人公の穏やかな真情を感じさせるようで、愛の実感の充実が音楽に溢れています。特別盛り上げるわけじゃなく日常の中で坦々と育まれてゆくような喜びが、最後に気持ちのいい締めかたでした。
とにかく面白いです。才能のバラエティをみるような作品。『CHAGE BEST SONGS ~PROLOGUE』のときもそうでしたがいやあCHAGEスゴイ。CHAGEを知らない人にこんな凄かったのといわせたいなと思いました。C&Aでももっと冒険してくださいな。因みに隠しトラックではあの曲のリメイクが!ええこのロック、カッコヨスギです!