LIFE
「『エヴァーグリーン』なアルバム」という賛辞があるとする。
この場合の「エヴァーグリーン」という言葉が指す意味としては、「いつ聞いても変わらず瑞々しい」や「色あせない」などになると思う。
小沢健二のこの「LIFE」もそういった「エヴァーグリーン」な魅力を持った作品であると思うが、前述のような意味とは若干趣が異なるのではないかと思う。
例えば10代の多感な時期にこのアルバムを聴いたとする。
アルバムに登場する、今にも曲の中から飛び出さんとするようなハキハキとした主人公たちに一瞬で魅せられて、恋をすること、人に出会うこと、日々を生きることの素晴らしさを存分に感じることだろう。
それは「ラブリー」や「ドアをノックするのは誰だ?」などに象徴される。
ところが、20代、30代と年齢を重ねるに連れ、それぞれの曲の聴こえ方、強いてはアルバムの色合いが変わって見えてくる。
アルバムの登場人物たちはそういった胸躍る恋の予感を感じながらも、いつかは必ず訪れる「別れの季節」を常に意識しながら生活しているのだ。
だから曲の中で繰り返し繰り返し「続いていく」ことを確認せずにはいられない。
ついに訪れたこの最高の一瞬は、すぐに時間の流れに消え入ってしまうと、どうしようもなく分かっていながら。
「I’m ready for the blue(ブルーの用意は出来ている)」とあるのは、そのせいだ。ふとした時に気づいてしまう、逃れようのない現実。
ここにこのアルバムのもう一つの大いなる魅力がある。
そして、「愛し愛されて」生きている登場人物は、やがて「旅に出る理由」を抱えて、皆それぞれの道を歩んでいくことになる。
この後、小沢健二がさらに昇華させることになる「出会いと別れ」「続いていくことと終わること」「刹那と永遠」がアルバム中にちりばめられている。
これほど素敵な、そして切ないアルバムは他にはない。断言する。
それにしても、これほど多面的な輝きを持った作品を「LIFE」と名づける小沢健二の感性の豊かさは何て素晴らしいのだろう。
新世界創造記・前編
auのFESのCMで『僕らの永遠〜何度生まれ変わっても、手を繋ぎたいだけの愛だから〜を』を初めて聴きました。
検索したちょうど次の日が発売日でしたので、運命を感じ(笑)買ってきました。
僕はギターがとても好きで、聴いている音楽もTOKIO・oasisなどギターが強い曲なのですが、WEAVERがピアノ・ロックということでとても驚きました。新鮮でとても素晴しいです!!
社会貢献でメシを食う
私は三十半ばの外資ファームに勤務している者です。自ら新規事業を数年前に立ち上げて以来、様々な紆余曲折がありましたが現在は一定の成長を遂げて安定期を迎えることが出来ました。しかし、創業時の激務から解き放たれて多面的に考える余裕ができるに従い、自分のビジネスにおける流儀によって何かを犠牲にしていないだろうかと疑念を抱くようになってきました。一方で、社会人になって間もない頃には職業に貴賤はないという実感もありましたし、社会的、ないしはビジネス的な実績を成し遂げていないのにも関わらず社会貢献を語る人々を敬遠する節すら自分にはあったと思います。
本書はこんな私と同じようなモヤモヤを抱えていらっしゃるビジネスマンの方々が手に取って読まれることをオススメします。私自身も斜に構えて敬遠していた社会セクターの概況、要所が大変分かりやすく纏められており、決して社会貢献とビジネスが対極にあるものではなく、むしろ融和させることによって新しい世界の到来を予感させる、そんなワクワク感を伝えてくれました。この本のテーマは『ビジネス的な手法をもって社会問題を解決する』こと。これだけでも、『力』を弄んでいる、特に三十路世代のビジネスマンのハートに刺さりませんか?
そう、この著書は概説書としても構造的に分かりやすく纏められていますが、熱いメッセージが随所に散りばめられているのです。私も思わず涙腺が緩みそうになったのは、『社会貢献とは誰かの絶望に寄り添うことではなく、希望を生み出し共有することだ』、『自己犠牲ではなく、自己実現の姿勢。自己犠牲には笑顔が無いからだ。笑顔の無いところに幸せはない』、『希望があれば本当の自分に出会うことができる』、のくだり。
この著書と出会い、自分も新たな取組をスタートする決心をしました。
著者の竹井氏へ感謝の念で一杯です。
@RyuganjiMorison on Twitter
変愛小説集
『「変」愛小説集』と言うタイトル通り、恋愛を扱ったアンソロジーですが、対象や設定が突飛で、確かに「変」の字を当てたくなるアンソロジーです。
しかし、編者も言っている通り、設定や対象が「変」でも、そこに描かれている感情は非常にピュアなものがあります。だからこそ、普遍的な「恋愛」小説として読むことが出来るのでしょう。
編者がこのアンソロジーを編んだ意図も、その辺りにあるのではないでしょうか。
今や食傷気味の「純愛小説」群には反発もありますが、このピュアな「恋愛」感情には全く嫌みがありません。むしろ、その一途さに惹かれるものがあります。
個人的には、この中では相対的に最もまともなラストの『母たちの島』が面白かったと思います。
戦争と言う極限の中で、女たちの島にやってきた兵士。
そして、その後に残ったものは・・・。
結果として残された娘の目を通して暴かれて行く過去は、母達の歓びと悲しみの混じり合った複雑なものです。更に・・・。
非常にユニークで面白いアンソロジーでした。
ロッソ・アモーレDelux
今年に発売されたセカンドアルバムの限定版。来日公演前なので、まだフィリッパ・ジョルダーノを聴いた事のない人や前作を持っていない人には是非・聴いてほしい。ポップスとアリアの両方を歌う幅広い歌唱力と温かい歌声、そしてキュートな容姿にきっとハマるはず。