円安バブル崩壊―金融緩和政策の大失敗
まあ、相変わらずの野口節である。本書は、週刊ダイヤモンドの氏の連載が元になっているので、新味はない。
米国でこれほどの事態となったのに、相変わらずの基本米国礼賛論でやや辟易とする部分もある。
2011年 本当の危機が始まる!
著者は国債バブルの崩壊とハイパーインフレを確信している。
反論の仕様がない精緻な分析は健在で一気に読み終えることができた。
政府筋と大物投資家やヘッジファンドが裏でつながっているかはわからないが、
状況証拠から証明するお馴染みの推測は断言に近く歯切れかいい。
でもその結果日本人がどうすればいいか、その解決案が具体的に示されていないのが物足りなかった。
経済ではあれだけはっきりと断言してるのだから、資産運用法にも歯切れのよさが欲しいと思った。
国家は破綻する――金融危機の800年
総ページ数588ページ、厚さ5センチ弱もある「辞書」みたいな一冊。
表紙はくだけた感じになっているし、訳文もわかりやすく、「字」も大きめ、
専門用語は少なめで、一般ビジネスマンに読んで欲しい、ということらしい。
しかし、そもそも近代?以降の経済データを丹念に調べた研究書であり、
後半170ページが資料になっているなど、軽く読める本ではない。
できれば、資料はWebで、ということにして、研究の結果だけを
面白く(「ヤバい経済学」のように)まとめてもらった方が良かった。
興味をもった内容:
・無敵艦隊を擁したスペインだって、国家財政規模の数倍の借金を抱えていた、
・歴史は何度も同様の金融危機を繰り返していて、その度に「今回はちがう」と言い続けている、
・日本も戦時には対外債務をデフォルトしたことがある、
・住宅価格の急騰が、金融危機の先行指標として有効(次の金融危機は中国発か!!)
・公的国内債務は、対外債務と違って返済される可能性が高いが、実は、予期せぬ高インフレを通じて
事実上デフォルトしていることが多い。
など。
たいへん読み応えのある本で、読む努力をしただけのことはある、と思える一冊です。
最後のバブルがやってくる それでも日本が生き残る理由 世界恐慌への序章
ブログの紹介で本書を購入しました。最後のバブルについての予見は、参考にしたいと思います。細かい数字はともかく、論理構成に矛盾はありません。一寸先は闇の世の中だからこそ、この方のような才能ある識者にどんどん執筆して頂きたいです。
金融バブルの経済学―行動ファイナンス入門
投資家心理の変化によるリスクを、モデルを構築することで説明していく。行動ファイナンスは、予想も行えるのだということを示唆している。
しかし、モデルの数式は途中過程の省略が多いため、非常に解きづらく理解しづらい。かなり気合を入れなければ、「そういうもんなの」程度の理解しかできない。かなりの上級者向けの一冊かもしれない。本格的に読み込みたい人にはお勧め。