ベスト・バッハ100
クラシック音楽に関しては素人の私ですが、思い切って買って良かったです。
聞いていて気分が落ち着いたり、高揚したりする曲で溢れています。
今までクラシックを敷居の高い音楽だと感じていて敬遠していたのですが、
このCD購入を機にもっと色々聞いてみようと思います。
モーツァルト:ディヴェルティメント集
イムジチのこの曲のCDを持っていました。
そちらはイタリアの合奏団らしく
アレグロ楽章では天空を雲雀が飛翔していくような
軽妙で爽やかな演奏を聴かせてくれます。
こちらはもっとゆったりと落ち着いたテンポで
古楽器の響きの美しさや輝きを
強調しながら進んでいきます。
BGM的気持ちのよさではイムジチ版で
演奏をじっくり楽しむためには、
とくにアンダンテ楽章ではだんぜんコープマン版が
優れていると思います。
ともかくとても印象が違うけれど
どちらも素敵なものに仕上がっています。
バッハ:管弦楽組曲
コープマンによる古楽器オーケストラによる演奏。
再生される音色は、暖色系で聴きやすいもの。
耳に慣れた第三番第二楽章の「エアー」も端正な美しさを
醸し出している。
CD一枚に全曲入っていて、内容を考えても、
とてもお買い得な作品だと思う。
バッハ:フーガの技法
なんの気なしにもとめたディスクがすぐれたものだと、とても嬉しい。このディスクはわたしにとってそういう「掘り出し物」であった。コープマンという演奏家は1970年代からとても有名だったが、わたしは3枚ほど彼のディスクを買って「なんとなく自分の才能に溺れる傾向のある人だな」という気がして馴染めなかった。つまり、ときどき名技にまかせて弾き崩すのである。
かれこれ20年ほども経って、ふと「フーガの技法」をききたくなった。楽器指定のない曲なので合奏版と独奏版があるわけだが、「2台チェンバロのものはないか」というのが積年の欲求であった。合奏版は賑やかになるし、独奏だと技術的に困難だ。ぴったりのもの(この盤)があったのでもとめて、きいた。
素晴らしい。曲がこうした論理的抽象的なものであることとコープマンが円熟したことが両方はたらいて、誠実で落ち着いた、深く静かな演奏になっている。多くは2枚ものになる曲が1枚に収められて(70分を超える収録だ)しかも廉価であるという点もわたしをふくめ、貧乏なクラシック・ファンにはうれしいところだ。
この曲の最後にはしばしば補筆されたコラールがついて、きちんと終結する形になっていることが多いが、わたしは原版どおり曲のなかばでふっと終わってしまう形のほうが好きだ。このディスクではそうなっており、音が止んだあとにも曲が続いているような瞑想に誘われる名演である。
モーツァルト : アイネ・クライネ・ナハトムジーク&3つのディヴェルティメント
現代の大げさな交響楽団に慣れた耳には異質に響くかもしれないが、
当時の楽器(コピーも含めて)を使用して、演奏方法、人数など、
オーケストラの配置などを出来るだけ当時のやり方に則って
演奏する古楽器演奏はやはり格別である。
小編成のオリジナル楽器のオーケストラだからといって、
「響きがスカスカになり、ギスギスした感じになる」
というようなことは、まったくない。
それよりも、この明快で各楽器のパートが際立つ
オーケストレーションに慣れてくると、
現代オーケストラの分厚すぎる響きがまだるっこしくて
かえってそちらのほうが、いやになってくる。
ことモーツァルトに関しては、スピード感、透明感、浮遊感
がなくてはどうにも話にならないのである。
代表的なオーケストラの特徴を以下に簡単に記す。
コープマンの演奏スタイルは総じてテンポを速めにとり、
明快で、メリハリのある音楽にしている。
モーツァルトの初期〜中期の作品に関しては
抜群に相性が良いと思う。
ブリュッヘンと18世紀オーケストラの演奏は、
どちらかというとエネルギッシュで外向的な
演奏といえる。
ガーディナーとバロック・ソロイスツの演奏は
なるべく奇をてらわず、正攻法でいて、
その音楽は深く内向的である。
ホグウッドとエンシェント管のものは
一番先鋭的で、いつも問題提起を起こす。
ある意味、スケープ・ゴート的な存在である。