恋について (Holly NOVELS)
所謂、激情を交わすタイプのものではなく、劇的な展開もアクの強いキャラも激しい性描写も全く出て来ない、男同士ということを除けばごくごくありふれたどこにでもあるようなお話、という感じです。なので“木原さんらしさ”とか、一般的なBLを求めていると肩すかしに合ったような気がすると思います。
それでも恋というのは本来こういうもので、うだうだぐだぐだ煮え切らない感情や状況を抱えていて、相手の気持ちがわからなくて、疑い出したらキリがなくて、苦しくて切なくて…。一本のメールや電話で一喜一憂したり、相手のせいにしたり周りのせいにしたり。精神的な距離の問題をクリアしたと思ったら物理的な問題が出来たり、またその逆だったり。そうやってぐだぐだ疲れてしまうのが恋の醍醐味だとも思うんです。そういう煮え切らない感情を抱えているということは、そんなに悪いことではないのだな、恋はひとりでするものではないのだな、と思わせる小説だと思います。
色っぽいシーンも抑え気味なのが妙にリアルだったと思いますし、挿絵の大竹さんのイラストも合ってると思いました。彼女はもっと評価されてもいい漫画家さんだと思います。へタレ攻が好きな方にはお薦めです。ergo -木原音瀬コレクション- でコミック化され、オマケにショートがあります。あの空気をまんま、目に映る漫画にするのは凄いな…と思いました。静かで内に秘めた恋情をしっとりと読みたい方に。
Mr.インクレディブル [DVD]
栄光と挫折、自分の弱さを知っているお父さんがいい。
飛行機が爆発した時の、子供を守るお母さんも素敵でした。
デザイナー、ヒーロー仲間、三輪車の子供など
脇にいる人たちも個性的でワクワクします。
スピード感ある物語で、飽きるところがなかった。
大人の哀愁から夫婦ネタまで、フフフッて感じでした。
私がいちばん好きなのは、あの伸びるお母さん。
船、パラシュートなど、変身する姿が楽しかったです。
感動したり、心に響くものはなかったけど、
エンドロールの最後まで、素直に面白かったなぁ。
ダッシュの疾走感、みんなで助け合う姿も良かったし、
続編が観たくなる、アッと言う間の2時間でした!
キマイラ―ホリー・ワーバートン写真集
この写真家が一番好きです。日本ではたまに展示会をやっていた時がありましたが、最近はその活動が見えないので寂しいです。彼女の作品はほとんどが女性をモデルにしていて、CGを駆使しないと作り込めないような、色彩やパーツのコラージュで、別世界の人物を作り上げています。ダークで宗教的、西洋感たっぷりの、絵画のようでもある作品。