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おすすめベスト10!
乳と卵(らん) (文春文庫)
性にまつわる赤裸々な語り、最後の奇妙な盛り上がりは読んでいて飽きること無く、
それなりのカタルシスもあったが、これが後年、自分や世界へ、多くの影響を与えるとは思えなかった。
母・巻子の豊胸手術、娘・緑子の出生への悩み、そこにがんじがらめになる余り、二人は意思疎通を滞らせる。
迷走の果てに目が覚め、互いに今までの間違いを悔いるシーンで話は終わる。
しかし、私はその後の、親子を見たかった。
巻子は本当に貧乳へのコンプレックスを昇華できたのか、
ノートでしか親と向き合えない緑子はきちんと話せるようになったのか。
終始関西弁で捲し立てられる話は、読んでいて小気味良いリズムであったが、
同時に、人情話のベールを無理に被らせた居心地の悪さも感じた。
後ろの短編「あなたたちの恋愛は瀕死」の系統でしつこく筆を進める作品が、
作者には合っているのではないかと思う。この作品以外も読んでみたいと思う。
キマイラ―ホリー・ワーバートン写真集
この写真家が一番好きです。日本ではたまに展示会をやっていた時がありましたが、最近はその活動が見えないので寂しいです。彼女の作品はほとんどが女性をモデルにしていて、CGを駆使しないと作り込めないような、色彩やパーツのコラージュで、別世界の人物を作り上げています。ダークで宗教的、西洋感たっぷりの、絵画のようでもある作品。
ぜんぶの後に残るもの
私は、この方の文章と感性の独特な先鋭さがとても好き。
日経新聞の夕刊に掲載されていたエッセイもリアルタイムで読んだとき、
なかなか、他の人がはっきり言えない感覚、でも市井の感覚、でも独自なもの
を打ち出しておられて、関心していました。
この本は、週刊新潮の連載がかなりの部分を占めるけど、
一部、震災直後の時期の日経夕刊のエッセイも交えています。
今の時代をより深く考えるために、
どのような力をもってしても「奪われないもの」とは何かを
震災後の今考えるために
この本を読んでみてください。
追伸:深刻な話ばかりではなく、つい笑っちゃう話ももちろん多いです。
(作者のファンにはいわずもがなでしょうが)。
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