テクノデリック
MIDI規格すら存在しなかった'81年発表の本作は、テクノを超越した現代音楽あるいは30年早すぎた音響系ポストロックと言っても過言では無い!TSUTAYAで「フォーク/ニューミュージック」の棚に置かれているのはどうにも勿体ない。
YMO
どなたかも書かれていましたが、私はこの音質は好みではありません。
おそらく、殆どの元リリースを持ってらっしゃる方が多いと思いますし、私もそうですので、その視点で書かせて頂きます。もちろん、これは楽曲そのものの批評ではありません。
リマスタリングは、CDとしてリリースする際の音質調整に過ぎません。
マルチトラックテープをミックスしてマザーテープを作成。これがリリース当時の大元。
そのマザーテープをコピーして、LPやらカセットの時代を経て、CDに至るまで作業用のマスターテープをつくります。
この際の音質調整程度であったマスター作りを、もっと大胆に帯域分割による音質・音量補正などを行い、過去のマスターと若干違ったモノをつくるのが「リマスター」という作業です。
ですから、マザー以上に音が良くなることは当然ありませんし、そんなに大きく音質変更できるわけではありません。
これまでも、YMOの音源はリマスターされていて、細野晴臣監修の物、坂本龍一監修の物などがリリースされています。
時代の要請かも知れませんが、細野さんの時はどちらかというと太い音に、坂本さんの時はドンシャリに作られていました。
今回の音は、ドンシャリでレベル上げの音、と言った感じでしょうか?
ドンシャリとは、低域と高域を強調するもので、乱暴に言えば、再生装置側でも調整可能なものです。カーステレオなどで、低域を目いっぱい出して、高域をほんの少し上げた時の音、と言えば判りやすいでしょうか?
レベル上げは、CD等の規格によって最大音量は決まってしまっているので、音が小さくなる部分などのレベルを上げることで、全体の音量が大きく「聴こえるように」するものです。
ただ、これは弊害もあって、最大音量と、最低音量の差が無くなっていくので、ダイナミックレンジを奪うことになります。静かに流れていた音の後に、最大の音が来るような楽曲の場合の、その音量差がなくなるというものです。
残念ながら、今回のリマスタリングは、このレベル上げがちょっと大げさすぎていて、例えばRydeenのスネアのアタックなどは、他の音に埋もれてしまって鋭さが無くなっているような感じです。
音質的には、ドンシャリなんだけど、音が固まりすぎているような感じ。
これは、残念ながら「音質が良くなっている」というものではないと思います。
既に、3回目のリマスターですから、過去の2回と違う音質にするとすれば、これしかないのかも知れません。
どちらかというと現代のカタログ的に使われるリリースとしては正解だと思います。
ただ、音質改善という意味でリマスターを期待するのであれば、リマスターの意味を正しく知って、過剰な期待を持たない方がよいと思います。
VisualYMO:the Best [DVD]
「映像でたどるYMOヒストリー」とか。ベスト版だけに映像的にはすでにリリースされているものとだぶっているようですね。でも、このDVDの特典はなんといっても高橋幸宏さんの副音声解説でしょう。たとえばオープニングのLAグリーンシアター公演。ステージに登場したメンバーを見ながら「教授若いですね」「ボクはあまりかわってませんね」なんてコメントしたかと思えば、真剣に演奏している矢野顕子さんを見て「アッコちゃん、怒ってますね~」なんて調子。こんな終止リラックスした感じでツアー当時のウラ話を語ってくれています。
Y.M.O. SELFSERVICE 結成二十周年記念 イエローマジックオーケストラ YMO
これ私が中2病を患っていた時に、近所のベスト電器のソフトコーナーで新発売でした。2枚組ですが、たしか後々にマルチメディアグランプリ・通商産業大臣賞を取った“正統派のマルチメディア”という趣のアプリケーションソフトです。マクロメディアディレクター制作でした。
アープオデッセイなどの2台のシンセ音再現ソフトの音のすごいこと、オリコンの創始者小池聰行のYMOに対するコメント、
何から何までなんなのコレ!、おまけに音質悪いがYMOのMP3が大量に収録されている、こんなゴージャス(笑)、シュパーブ(!)なソフトは後にも先にも無さそう。150点つけたい気分です。こんな贅沢なソフト創る人がいたんですね、いや信じられん。
何かWindows XP非対応らしいです、あしからず。
(参考ページ)
http://www.kanshin.com/keyword/20950
http://ascii.jp/elem/000/000/313/313719/
MUSIC MAGAZINE (ミュージックマガジン) 2009年 10月号 [雑誌]
ミッシェルのページは特集と銘打っている割には少ないかなという印象でした。
内容は何人かのライターによるミッシェル評論です。
写真も非常に少なく小さいので写真も同時に見たいという人には不向き。
アベの突然の訃報に際し出されたものですが、
なぜ解散に至ったのかという点に触れる評論があり、
アベの「単にギターを鳴らしたい」という、ある種、青春のようなものを思わせる姿勢と
「世界を大きく捉えピースというメッセージを描きたい」というチバの”温度差”が
解散に至ったのではないか、という指摘が印象に残りました。
果たしてその通りであったかどうかは不明ですが、1つの見解としては興味深いです。
私は、個人的にはミッシェルはどんな論評よりも、インタビューよりも、
音楽そのものに触れること(今となってはCDを聴くということ)が一番だと思い、
あまりミッシェルの活字を熱心に追ってはいませんでしたが、
聴き直すという意味で、これを読んでから聴いてみると、
ジャーナリスティックな視点で、これまでと違った見方もできると感じました。
強くオススメはしませんが、なんとなく読んでみる感じですね。