フィギュアスケート・アルバム~銀盤のクラシック
ウォルト・ディズニーの「ファンタジア」、日本映画界の巨匠・黒澤明の「夢」といったオムニバス作品に夢中になった僕にとって、この荒川静香さん推薦の「フィギュアスケート・アルバム〜銀盤のクラシック」は、もはや芸術と音による新たな世界への入り口です。とにかく、聞いてみてください。そして聞き終わった後で感じてみてください。『芸術と音もここまで来たか………』と。
レナードの朝 [DVD]
ロバート・デ・ニーロとロビン・ウィリアムズの2大スターの競演で
すが,話題負けしない絶対に見るべき価値のある映画です。
実話ですが,芸達者な二人がそれぞれの良さを発揮しているのはもち
ろんのこと,脇を固める俳優もその人物像も暖かみがあり,よりリアリ
ティのある話になっています。
患者に対して真摯に向き合い,目の前の患者のために一生懸命努力
する医師をロビン・ウィリアムズが気張らずに,暖かみある笑顔でひ
ょうひょうと演じています。
一方,30年ぶりに眠りから覚めたら,自分の知っている少年の姿
ではなく,おっさんになっている現実にびっくりしながらも,ピュア
な少年の心で周りの全てを新鮮に感じ,話を楽しんだり恋をしたりし
て,生きることの全てを謳歌しようとする姿に,生きることの意味に
ついて考えさせられます。
自分が本当に今の生活を感謝して生きているのだろうかと・・・。
自分の見栄やプライドを振りかざし,大事な生きることの意味とか,
楽しさだとかを忘れているのではないかと考えさえられます。
一度目覚め,せっかくの人生の楽しみを見つけたのに,薬の抗体が
できて,再び眠りに入ってしまいそうな不安と自分の体が思うように
動かなくなっていく事に葛藤していく姿は映画であることを忘れさせ
られました。
一番印象に残るシーンは,そんな彼が想いを寄せる女性と踊るダン
スを踊るシーンは涙が止まりません。
人と人が心寄せ合うことの素晴らしさ,互いの信頼感,言葉にせず
とも伝わる想い・・・,こんな風に人を好きなりたいと思いました。
すごいことが起こるわけではない映画ですが,人生についていろ
いろ考えたい時,自分が本当に生きているか分からなくなった時に
見てほしい映画です。
音楽嗜好症(ミュージコフィリア)―脳神経科医と音楽に憑かれた人々
私も題名に惹かれて購入。
モーツァルトのような音楽的天才の解剖でもするのかと思ったら、違った。
音楽に関する症状の出てしまった患者さんについての医学エッセイということだが、
う〜ん…、オペラ2000曲をすべて知っているですって?
オペラ1本3時間で1日ぶっ通しで見続けるとしても、250日かかるってのに?
いや、ていうかオペラってそんなにあったんだ…。
脱帽。
これはほんとうにモーツァルト並みの記憶力ではないですか?彼も記憶力が異常に優れていたと言いますが…。
私も音楽嗜好症だろうか?と思ってワクワク読んだが、最後までワクワク読んだが、私は音楽嗜好症でなかった。
私にはオペラ1本暗記する記憶力もないし、24時間頭にメロディーが流れているわけでもないし、大好きなモーツァルトだっていつでも聴いていたいわけではない。
フンフン鼻歌しながら楽しく聴いていた、明らかに音楽凡人な私だが…凡人でよかったのかもしれない。
彼らには彼らでかなりの苦しみがありそうに思えてならない。
火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)
脳神経科医である著者が、医学的知識を背景とした客観的なまなざしと、人間的な温かいまなざしの両方をもって描く患者さん達の様子。「ある種の健忘の患者さんは、新しい出来事を記憶できない」「自閉症の患者さんは相手に愛着を示したり、感情を共有することが難しい」と知識としては知っていても、やっぱり実際の患者さん達と人間として触れ合うと、「そんなことない。こんな経験を忘れるわけないんじゃないか」「今、彼と気持ちを共有しているじゃないか。彼は僕のこと覚えているじゃないか」という気持ちになるし、そうであって欲しいと著者のように願うのが自然だと思います。頭では分かっていても、でも、という気持ち。それは彼らと接している人なら誰でも感じる気持ちだと思いますし、そういう気持ちがなくなってしまってはいけないような、そんな風に感じます。著者の冷静で知的な描写と、優しい気持ちがとても良いバランスを保っている素晴らしい本だと思います。
また、この本に登場する患者さん達は高次脳機能障害の方々がメインかと思っていましたが、実際にはサヴァン症候群(「レインマン」のような、突出した才能をもつ自閉症や知的障がい児・者)と高機能自閉症の患者さんについても最後の2章で触れられています。特に高機能自閉症の患者さんは「我、自閉症に生まれて」のテンプル・グランディンであり、彼女の著書によってその内的世界を知った後に、この著者が外側から見たテンプル・グランディンの様子を知ることが出来るのは非常に興味深いことでした。また、著者は小児精神科医ではないので、発達障がいの捉え方がまた一味違い、それも勉強になりました。自閉症や発達障がいに関心がある方にも、ぜひお勧めしたい本です。