プレイグ・エンジェル
スウェーデンの暴虐ブラックメタルバンドMardukの九枚目のアルバムです。Mardukというと嵐のように疾走する超暴力的なブラックメタルというイメージでしたが、一個前のWorld Funeralで、暴走しながらも起伏のある展開で聞かせるようになったと思います。前作よりも、さらに全体的にカッチリしたリフと展開を聞かせてくれます。
中低音の、格調高い雰囲気の魔界的旋律がカッコいい曲が多いです。リフが若干テクニカルになりデスメタル的なタイトさも感じます。全体的に「これぞ!」という感じの疾走曲が多いですし、スロウな曲もいい按配でアルバムの流れを盛り立てていて、バランスの良いアルバムだと思います。throne of rats, everything bleeds など、人気曲も多数収録されています。
怒りに満ちた暴力性を求めるならPanzer Division Marduk、サタニックかつ美しい残虐なブラックメタルならHeaven Shall Burnをオススメしますが、入門するなら、聞きやすく、バランスも良い、このPlague Angelが良いと思います!
Mardukらしく、一曲目からいきなりテンションMaxのブラックメタルです。最近、元気が出ない方の気合注入にもオススメです。
Wormwood
モルトゥース(vo) モルガン・ステインメイヤー・ハカンソン(g) マグナス“デーボ”アンダーソン(b) ラーズ・ブロッデッソン(dr)
スウェーデン出身ブラックメタルの大御所。2009年11th。ドラムが交代している。
タイトルは「苦ヨモギ」の意味で、ヨハネの黙示録13章10,11節に登場する、地球上の水の3分の1を汚染し多くの人間を死に至らしめる星のこと。第3の天使が吹くラッパによって、地上に落ちることになっている。そういえば彼らの9枚目のアルバム「Plague angel」にも "Seven angels,seven trumpets" という曲がありましたな。
なのでコンセプト的には、前作「Rom5:12」に続く宗教路線といえるだろう。
今回も速い曲、スローな曲織り交ぜた構成となっているが、特にスロー曲におけるモルトゥースの情念の込め方が半端ない。もう呪詛というか苦悩というか、聴いてるこちらの精神が危ぶまれそうな呻き声。
前作よりもさらに濃密な暗さが全編にわたって響き渡り、「黒い馬」と「蒼ざめた馬」の騎手の如く飢饉と疫病を撒き散らしながら疾走する、終末的ブラックメタル。