僕たちの洋楽ヒット Best Of 60’s 1960‾69
80年代の曲でさえ古く感じるのに、ここに収録されている曲は全く古く感じなくて不思議でした。
時代を感じさせない耳心地の良い素晴らしい音楽ばかり!
ていうか、つい最近にCMや何かの番組で聴いたことある曲がいくつもあったし。
母は懐かしいと言い、私は新鮮な気持ちで聴けました。
イージー・ライダー ― オリジナル・サウンドトラック
この映画の舞台になっているには『ラブ&ピース』に象徴されるヒッピー時代の終わりを告げる時代である。しかし、主人公の2人(デニス・ホッパー、ピーター・フォンダ)は時代の変化に逆らいながら自由を背に掲げてバイクに股がる。もちろん、映画に使われている曲群も自由を求めた時代のものばかりである。ドラックをキメて、女をハメ、バイクで走る、そんな米国60年代をそのまま象徴した映画は本作以外存在しなかったし(当時)、当時の人間(70年代初頭)はヒッピー時代に対して少し後ろめたさを感じていたのも事実。しかし、これらの曲群を聴けば、それだけで自由な60年代の空気感を感じることが出来る。このサウンドトラックを聞きながら、田舎道をバイクで走る、それだけで自分に酔いしれてしまいたくなるような一枚です。
Steppenwolf
ヘルマン・ヘッセの作品は、青春をモティーフにした甘味で叙情的な作品が多く、永遠の青春文学の金字塔かもしれない。車輪の下、デーミアン、クヌルプ・・・と。そんなイメージで捉えられる彼の作品の中でDer Steppenwolfは異色の作品に属す。ドイツ語の原文も本書の文体が重い部類に属す。
本書が戦後脚光を浴びたのは、1968年を中心に世界中の大学で吹き荒れた大学闘争の最中、バークレーのキャンパスに屯したヒッピーたちが愛読したことで、再評価された経緯がある。
ストーリは別の情報源に任せるとして、この作品はヘッセが若いころから患った神経症の治療経験を作品化したものともいえる。作品中に「魔術劇場(Magisches Theater)」という章が、イタリックで挿入されている。これこそ治療として施されたユング心理学の臨床経験を寓意的に素描した個所に他ならない。アニマとアニスム、ヘルマンとヘルミーネと書くとヘッセの意図が見えてこよう。愛好する音楽もモーツアルトとジャズ、この対照的な構図にこそヘッセ文学の真髄がある。
この自らの格闘があればこそ、晩年ノーベル賞を受賞した「ガラス玉遊戯」の端正で格調高い独自の世界を獲得できたのだ。ぜひ一読をお勧めする。