野ブタ。をプロデュース DVD-BOX
「亀梨くん」にまったくもって感心した。ジャニーズの人は基本的に「光」の世界の住人で、「影」の世界の住人はこの会社、できるだけさける方針だと思っていたのだが、私は彼の登場をもってその考えを改めたのである。いえ「光」と「影」を上手に使いこなす人ならそこそこいたんですけどね。SMAPの演技派とかさ。でもそれは、一見「影」だけど実は「光」で安心、みたいな感じだったと思う。ベースが「影」、というのは私の実感としては「亀梨くん」が初体験なのである。その「影」に惚れた。私は男だから自分で気持ちが悪いが。
「ごくせん」では、うおお、般若!という第一印象で、この能面ぶりは演技なのか緊張なのかよくわからなかったのだが、しかし「相方」(近畿っぽいね)の「赤西くん」が悪ぶってるけど実は、的なもうジャニ的すぎる「光」を放っていたのに対し、すでに何か独特の陰影をただよわせていたように記憶している。
そして、この「野ブタ」である。一見「光」だけど実は、の設定、すごいハマリ役だったのではないか。へらへらペラペラなスタイルとセリフの裏側にある無表情と沈黙のブラックホールがもう、いいのなんのとすごく興奮しました。チャリこいだり部屋でひとりでもんもんとしながらの「哲学」、彼が「内面」で語ると重みがある。バイバイシクルとかいう「お調子」のときの目が笑っていなかった。あれは不自然だった。その不自然さにドキドキしていた。この人工的な感じがいつか壊れてしまうではないかとドキドキしていた。その独自の不自然さを可能にしているのは、彼の言動に常にそこはかとなくつきまとう「影」ではないか。
さめているようでいて実は人間大好き、というのも、わいわいやっている人間たちをいつも「影」でじっとながめている、どこか世界の裏側の人間の性格である。そういう役を120%ちゃんとこなした。彼は「影」の世界の住人だ。
青春の影vs心の旅~2006Anniversary Mix~
青春の影を聴くと、何故か遠い故郷を思い出します
夏はカエルの鳴き声が聞こえ、冬は深々と雪が積もる私のふるさと
東京に暮らしていて、人でごった返す駅のホームや交差点に立つと、「この道はいくつも交差しながら、遠い私の故郷に繋がっていくのだな」と思うのです
青春の影は恋人の歌とよく言われていますが、25歳の私には、そんな心細さをそっと包み込んでくれるような、郷愁を誘うような歌に聴こえるのでした
イマジネーションの戦争 (コレクション 戦争×文学)
芥川の「桃太郎」はおとぎ話に戦争の倫理を問う作品。安部の「鉄砲屋」は経済が戦争を引き起こす様を寓話にしたもの。筒井の「通いの軍隊」は戦争に日常性を持ち込んだ皮肉な作品。
伊藤はアフリカの紛争から、戦争から逃げられない少年のニヒルな状況を描く。モブの「既知との遭遇」は不条理さを観念的、断片的に描く。
小松の「春の軍隊」は平和な世界に理由なく嵐のように去来する戦争を描写。秋山の「おれはミサイル」は飛行機とミサイルに言葉を与えた、ある種クールで哀しげな作品。三崎の「鼓笛隊の襲来」は戦争と言うより災害のユーモアがある。青来の「スズメバチの戦闘機」は子供の探検に歴史などを仮託している。
星野の「煉獄ロック」は管理社会の青少年のディープな生活を表現。星新一の
「白い服の男」は戦争を厳禁する社会を描いて、かなり面白い。山本の「リトルガールふたたび」は現代日本の大衆を風刺する。田中の「犬と鴉」は苦痛に満ちた現代の戦時下を純文的に描き出す。
稲垣足穂の「薄い街」は本書で一番戦争らしくないビジュアルの面が目立つ作品。内田の「旅順入城式」は映像としての戦争をリリカルに描く。高橋新吉の「うちわ」は人間として骨のあるいい作品。赤川の「悪夢の果て」は筋がわかりやすい。小島の「城壁」はぼけたユーモアが光る。
どれも面白かった。最初の方の会田や奈良の絵の収録もいいと思う。