レフト・アローン(K2HD/紙ジャケット仕様)
数年前に友人とワンショットバーへ行った時に流れていた曲でした。当時、私と友人はパンクロックにハマっていたのですが、何故かこの曲が胸に響いたというか、心に染み込んでいったというか、心の奥底の何かがこみ上げてきてしまったというか・・ついつい涙目になってしまいました。スイッチが入ってしまった感じでした。バーテンさんに「この曲は何という曲名なんですか?」と尋ね「レフトアローン」と知りました。レフトアローンとつくCDを何枚か聴きましたが、バーで聴いた曲とは微妙に違う気がして随分探しました。やっと探しあてたCDに毎日聞き入っています。サックスの乾いた感じの音と力強く聞こえるのに他の楽器の音を引き立てるピアノの音色に癒されます。JAZZへの第一歩の曲がこの曲で良かったと思いました。今はパンクではなくJAZZを聴いています。
ジャッキー・マクリーン・クインテット
「猫のマクリーン」と呼ばれる、マクリーンの初リーダー作。確かに、なんとなく味のあるジャケットです。童話の挿絵に使われそうな感じの、版画のような猫の絵を用いたバージョンも見たことがありますが、こちらの方が本家なのでしょうね。
「B級」と言われたりもするマクリーン、音を外しぎみのところもありますが、アルトの音色は、やはり味があります。1曲目の“It's You Or No One”から、いいノリ。“Lover Man”のようなスタンダードも、自分の味付けにして、楽しませてくれます。
クール・ストラッティン+2
ソニー・クラーク (Sonny Clark 1931年7月21日〜1963年1月13日) は、アメリカ合衆国ペンシルベニア州生まれのジャズ・ピアニスト、作曲家。1957年ブルーノートと契約、何枚かのリーダー・アルバムを発表、その影にポスト、ホレス・シルバーに押し上げたブルーノート創設者アルフレッド・ライオンの力が大きい。若干31歳の若さで他界、死因はヘロインの過剰摂取、アメリカでの人気は常に低かったが我が国では「クール・ストラッティン (1958年)」のピアニスト兼作曲者として有名になり熱狂的なファンが多い。アルバムは1958年録音の超人気の名盤で、1曲目の「COOL STRUTTIN'」2曲目の「BLUE MINOR」とCDで追加された5曲目の「Royal Flush」がソニー・クラークの作曲となる。不動の人気の一つに共演者の好演がある、アルト・サックスのジャッキー・マクリーン、トランペットのアート・ファーマーのソニー・クラークの音楽性を意識した非の打ち所のない名演を聴く事ができる。また当時、最高峰とされたリズムセクションのベースのポール・チェンバース、ドラムのフィーリー・ジョー・ジョーンズの完璧なサポートらに支えられ哀愁のファンキーピアノが溶け合う。この音を至福といわずして何というべきか、驚異の完全無欠アルバムは斯(か)くして永遠となった。
(青木高見)
マイルス・デイヴィス青の時代 (集英社新書 523F)
著者のマイルス新書シリーズの第1作。私は本書を読むのが最後になったが、やはり年代順に本書から読み始めるのが望ましい。なぜなら、第2作以降では年表の不在が気になったが、本書冒頭に1926−91の年譜があるではないか。第2作以降もこの年譜を参考に読み進めるべきだろう。
ピカソの青の時代に相当するマイルスの青の時代として、著者はマイルスの生い立ちからアマチュア時代、プロ・デビュー、演奏スタイルの確立、アレンジャー/オーガナイザーとしての卓越した才能の開花の足跡を辿り、同時に至高の傑作カインド・オブ・ブルーに至るまでの数々の名盤(ディグ、ウォーキン、バグス・グル―ヴ、ラウンド・アバウト・ミッドナイト、マイルス・アヘッド、サムシン・エルス等)を名盤たらしめている秘密を探る。そして、この時代のマイルスと多くのモダン・ジャズの巨人との交感やケンカ・セッションの真相等も丁寧に明かす。
ジャズのどの作品を聴こうかと迷ったら、マイルスを聴くべきであり、ジャズ入門者はもちろん、40〜50年代のジャズに詳しい人にとっても新たな発見がある好著だ。